9話 決心




 一方、異世界へ行けるかもしれないと思っていたリゼは、(異世界に)いけなかった。


 翌朝目を覚ましたリゼは、カレンが憑依したままなのは感じられたけど、昨日寝た時と比べたら存在が薄いような気がした。


 リゼは朝食の支度をするためにまず、顔を洗って寝間着を脱いで、部屋着に着替えようとしたところでカレンの存在感が寝る前に戻ったのを感じた。


「カレン?戻ったの?」


『あ、ただいま!リゼ。今解除するわね』


 カレンはそう言うと、憑依を解除してリゼの前に戻って来た。


「リゼ!おはよう♡あはぁ♡リゼ大好き♡」


 カレンはリゼの体を抱きしめると、大きな胸でリゼを締め落としに来る。


「むにゅ、ど、どうした?カレン?」


 リゼは、まだ下着のままなので服を着ていない。リゼの体はカレンやシャルロッテに比べたら控えめな胸なので体には自信が無かった。


 だからカレンの巨乳とも言われる豊満な乳房に憧れ、その母のような抱擁と柔らかい感触が大好きだった。


「なんか異世界を行ったり来たりで疲れちゃって、なんだろう、寝てない感じ?徹夜明け?」


 カレンは徹夜明けのバイトのようなハイな状態になっているのか、リゼに絡んでくる。寝不足は体に良くない。


「あ、あれ?」

 

 そんな心配をしていると、案の定カレンの足がもつれて、床に倒れてしまった。


「痛った、たたた……」


「カレン……大丈夫?」


 リゼは倒れたカレンの手を取るけど、カレンは起き上がれない。カレンの体が心配だ。


「おっかしいなぁ」


「カレン、無理は良くない」


「寝不足かもぉ」


「む、寝不足なら、寝た方が良い」


 そうしてりぜは、精霊魔法でカレンに「睡眠」をかけてあげた。


「少し休んで……カレン」




◇◇




 私が目を覚ますと、リゼに膝枕をされていた。


「リゼ?」


「カレンは、頑張り過ぎ」


 リゼは私の体を心配しているのか眉をハの字にして、私の頭をやさしく撫でてくれた。


「そうね……」


 このところの異世界との二重生活は、私にかなりの負担がかかっていたようで……精神的に限界が近づいていたのかもしれない。


「迷宮は、リゼとシャルで、参加するから……」


「役に立てなくて……ごめんなさい」


「ん、大丈夫。大事なカレンの体は、サーラとリゼ達で守るから……」


「え?」


「リゼには分かる、カレンは異世界で、やり残した事、やりたい事、大事な事。大切な人いる」 


「……うん」


「私達の事は、気にしないで?カレンの体は、絶対に守るから」


「……うん」


 リゼの優しさに涙が溢れて止まらない。今まで止めていた感情が堰を切ったように流れ出した。


「ごめん……ごめんね?……リゼぇ……ぐすっ……」


「カレン、気が済むまで、異世界、行ってこい!」



◇◇



 リゼに諭され、異世界での生活を休止して、私の体をサーラとリゼ、シャルに預ける決心を付けた私は次のカレンの召喚に備えた。


 最後の別れじゃないけど、シャルとサーラにも行ってきますの挨拶をして、私の体をよろしくと何度もお願いした。


 私の体を変なことに使わないように念を押して。女の子だから大丈夫だと思うけど、ドールみたいに使わないで欲しいわ。


 そして、別れを惜しむように……私たちは体を重ねて……いつの間にやら脱がされていた。


 折角行ってきますって感動的なシーンだったのに、台無しよ!?



「カレン♡ずっと待ってるから……心配すんなって」


「カレンちゃん!時々は戻ってきてくださいにゃ」


「体の方は、心配いらない。毎日添い寝して、シャルから守るから」


「リゼ!?ってなんで、あたしから守るって?」


「自分の胸に、聞くと良い」


「サーラも!カレンちゃんを守るにゃ!」


「みんな……ありがとう!大好きよ!」


 結局、三人の気が済むまで、時間も忘れて愛を受け入れていたら、そのままの状態でカレンに召喚されてしまったのよ。


 そうはもう、体中キスマークだらけで、汗やら唾液やらで濡れまくって、紅潮した私が顕現したのだから、カレンに散々怒られたわ。


 

 ――もう、私は大丈夫。



 最も信頼し安心出来る、私の大好きな仲間達。シャルとリゼとサーラが私を守ってくれるから。






第二章 おわり





第三章 学園編に続く

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