S5話 サーラと一緒



 俺の名前は桜川真さくらがわまこ。漢字ではまことと書いて「まこ」と読む。今は護衛のため、猫耳獣人のサーラに憑依している。もちろん完全憑依じゃないので、サーラには何も問題は無い。



 ロンドレイクを出ると国境まであと少しとなり、国と国の境界には関所が設けられているけど、国外逃亡する身なので関所などは通らない。

 まぁ憑依しているので、私は問題ないのだけど、あまり移動の足跡を付けておきたくはない。


 なので関所を迂回し、森から隣国へ潜入するルートを取る。


 勿論、森の中には動物や魔物が存在するので、倒しながらの移動となる。


『サーラ、大丈夫?』

「はい!ちょっと辛いですが」


「ちゃんと掴まってないと、落ちるから気を付けて!」


『サーラ、交代してあげるわ』


 私はサーラに完全憑依するとスキルを発動して体を強化する。


 シャルの馬に同乗しているので、シャルの腰に手を回わして掴んでいるような状況になる。


「サーラも振り落とされないでよ?」


「分かっているわ!」



 暫くエルフのリゼの案内で、森の中を走り回ると水の音が聞こえてきた。川か滝のようなものがあるみたい。


 川に出てからそのせせらぎを上流の方に遡っていくと透き通るような綺麗な泉に到着した。


「ここで休憩するよ!」


「同意」



「わぁ!綺麗な泉!」


「水浴びでもする?」


「私は結構かな、生活魔法で綺麗にしてるので」


 ……なんか微生物?ミジンコとかついたら嫌だし。


「え?カレン?生活魔法使えるの?狡い~」


『カレンちゃんは、何でも出来そうですね』


 サーラに完全憑依しているので、私は今サーラになっている。

 そして、サーラの意識はそのままにしているので、サーラとも会話ができていると言う感じだ。


 宿で貰ったお弁当を広げてみんなで食べる。食事の時は、憑依を解除してちゃんと私も食べる。憑依しててもお腹は空くからね。


 さて、この泉のあたりは既に隣国マルズエス帝国領内に入っている。あとは近くの人里まで移動すると、とりあえずの目的地だ。


 最終目的地までは決めていないけど、人のしがらみのない住みよい場所が見つかるといいな。


「え?リゼが服を脱いでる?」


「折角だし水浴びする、で泳ぐ」

「じゃ、あたしも入る!」


 リゼとシャルが服を脱ぎだして……全裸になって泉に飛び込んだ。

 ええええ!?いやいやいや、ちょっと目のやりどころに困るんですけど?

 あ、私は女の子だから見てもいいんだ。


 今の体はサーラだから、サーラの服を脱がして、いや脱いでと。


「冷たくて、気持ちいい!」

「カレンも一緒に入ろうよ!」

「ええええ!」

「ほれほれ、サーラから出てきなさいカレン」

「はいはい、分かったから」


 憑依を解除して結局私も入ることになったけど、冷たい水もたまにはいいかもしれない。目の保養にもなったしね。


 この泉のあたりが気に入ったのか、皆移動しないのでここに結界を張り、拠点化することになったのは後の話になるけど、国外脱出はしたので、ここにとりあえずの家を建ててみることにした。


 この泉の畔に土魔法で取り合えず住めるような家を建てて、スキルリビルドでさらに強化して硬化した2階建ての家を建築してみた。中にお風呂を作るのは忘れない。

 泉の水を利用する感じでいいかしら。


「出来たわ」


「「「おおう!凄い」」」


「あっという間に家が出来てしまいました」


「カレンってあんた何者なのよ?……まぁいいけど」


「カレン、結婚しよう?」


「って、あんたも女の子でしょ?あたしともする結婚?あははは」


 こうして当分の間、ここを拠点とした4人での生活が始まったのだった。





あとがき


過去編はここまでとします。

お待たせしました。次回より第2章になります。


続きが気になる。更新頑張ってと感じて下さいましたら☆、♡にて応援お願いします。


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