第二章 異世界帰還編

1話 カレンちゃんの全快祝いです



 ――エルフの森。そこは世界樹ユグドラシルに守られた聖なる地となっている。


 冒険者リゼの案内によりたどり着いた時は、排他的なエルフに攻撃されたりと、色々一悶着あったけど、リゼの仲介で村に入る事が出来た。

 なんと、リゼが長老の孫娘だったこともあり、部外者の私達でも森の外れに住むことが許されたのだ。


 最初ボロボロだった森外れの一軒家は、リビルドの魔法により、ほぼ新築になった時は驚かれたけど。



 私はこの異世界では、カレン・グランチェスカ元公爵令嬢になっている。こっちではまだ処女だし、純潔を捧げる予定も無い。淑女たる者、貞淑でなくてはならないのだ。


 でも、まさか元の世界の私の中に本物のカレン・グランチェスカがいたとは思いもよらなかった。


 私はカレンに召喚されて、元の世界で過ごした日々を思い出すと、目の前の景色が涙で歪んだ。


 そう、毎日のようにカレンと抱き合って蕩けていた日々……。


「……はぁ……何で濡れるのよ……相手は私よ?」


 あり得ないわ。わたしカレンに欲情するなんて……。


 私の顔は自分の意思に関係なく真っ赤に染まっていた。



◇◇



 私が復活した次の日、私の回復祝いということでバーベキューパーティーをする事になった。


 家の外では既に準備が進んでいて、サーラが食材の加工。リゼはバーベキュー用に焼く場所の準備をしている。


「たっだいまぁ!シャルちゃん帰ったぞー」

「あ、お帰りシャル」


 バーベキューの準備している所に現れたのは、一緒に住んでいるもう一人の仲間。魔法使いのシャルロッテだった。


「ああ!カレン久しぶりじゃん!元気だった?なんか倒れたって噂で聞いたけど?」


「うん、もう大丈夫みたい。シャルはどうだったの?」


「そうそう、聞いてくれよ〜これが戦利品ってね」


 シャルはそういうと、大きな赤黒い肉を袋から出してニカっと笑う。


「これは?」


「ブラッドボア!レア物で美味しいお肉ゲットよ!」


「やったーぁ!今日のバーベキューはレア肉ゲットぉぉ!」


「肉、リゼに任せろ」


 リゼはシャルの持っていた肉を速攻で奪っていくと、素早く切り分けていく。


「で、何のお祝いやってんの?」


「カレンちゃんの全快祝いです!」


「そっかそっかあ!」


 この家では、めでたい事やお祝い事には、バーベキューをするという暗黙の了解がある。


 ブラッドボアの串焼きのいい匂いがする中、サーラが串を取ってくれる。


「はい、カレンちゃん焼けましたよ?」


「ありがと、サーラ」


 香ばしい良い匂いのするボア肉に齧り付く。


「!……美味しい!」


 柔らかくて肉汁が溢れて、とにかく極上の肉質にたまらない味。これは癖になる。


「カレン?今、酒が欲しいって思ったっしょ?」


「うん。どうして分かったの?」

「顔に書いてある」


「嘘?」


「なははぁ!!うっそーん♡」


「あー!シャルお酒飲んでる!?」


「飲んで無いもーん♡」

「いや、絶対飲んでる」


「ええい!カレンも飲めぇぇぇ!」


「いただくましゅ」


「あっカレンちゃんダメ!」


「カレンちゃん?もう飲んでるし?」


「お酒、足りない」


「ええ!?リーゼさんも?」


「サーラも飲むのじゃ♡ほれ、近こう寄れ」


「もうだめにゃあああ」


 火照った体にお酒が気持ち良い。アソコも濡れて気持ち良い。体がフワフワしてる。

 濡れた愛液の香りが鼻腔を付く、はぁ……いい香り……。

 記憶の中の彼女が嬌声を上げて悶える。


「ん……あっ……だめにゃ……んん……くぅ」


 ん……雫……遥……佳奈……はぁ……はぁ。


「にゃ……カ……レン……ちゃん……んん」


 んん……ぴちゃ……ぴちゃ……。


「もう……ダメにゃ!……んん!にゃにゃにゃああああああ!」



◇◇



 バーベキューをやった次の朝。記憶が曖昧なんだけど。

 私は何故かサーラのベッドで寝ていた。横には裸のサーラが寝ている。

 私も裸で寝ていたようでちょっと寒い。


 はて?どうしてこうなった?……もしかして、私、……サーラとヤっちゃったの?


 私は決して淫乱ビッチでは無い。


 だってサーラとは2年近くも一緒にいたわけで、今まで一度もこんな事にはならなかった。私は男には興味がないし、サーラは女の子とはしないノーマルな女の子だった……と思う。


「ん……むにゃむにゃ……カレンちゃん♡」


 私が……変わってしまったというの?


 短い間だったけどカレンと暮らした日々、そこで私の何かが変わってしまった。

 酒の勢いとはいえ、こんなに軽くサーラに手を出すなんて以前の私じゃ考えられないわ。


「ん、おはようサーラ」


「あ、あぅぅ……お、おはようございます。カレンちゃん♡」


「昨日はちょっと飲みすぎちゃったみたいね。サーラは体の方は大丈夫?」


「は、はい!だ、大丈夫!です……にゃ?」


「本当かしら?おいで……サーラ」


 私は両手をサーラの背中に回して、小ぶりなサーラの体を抱きしめると、茶色のサラサラな髪のサーラの頭を自分の豊満な胸に埋めるように抱きかかえた。


「むぅ♡……もがもが♡むにゅむにゅー♡」


「ねぇ……サーラは、昨日の事、覚えてる?」


 二人とも裸なのだから、何かあったのは確かなのよね。


「覚えてるも何も……もう、あ、あんなすごい事……されちゃったら、もう……忘れられませんよぉ♡」


 サーラは頬を真っ赤に染めて、いやんいやんしている。

 あー黒だわ。真っ黒みたい。


「そっか、サーラは私の事好き?」

「もちろん!大好きです!にゃ♡」


「私も好きよ」


 サーラの顔を両手で挟んでキスをする。

 

「ん~~ん~~んん♡」


 慣れないキスに息が詰まる。息が出来ず、苦しそうなサーラが可愛く感じる。


「ぷはぁ!……はぁ……はぁ……」


 可愛い……。


「キスは初めて?」


「……はい……カレンが初めてです、にゃ♡」


「サーラの初めて貰っちゃった♡」

「はぅぅ♡」


 もう一度サーラの口を塞ぐ。今度はもっと深く濃厚に。


「☆!♡!ん!あ♡んん……んちゅ♡……はぁ♡」


 バタン!扉が開く音。


「ちょっと!聞いてよぉサーラ!リゼがぁ……!!」


 丁度サーラと裸で濃厚なキスをしているタイミングで、サーラの部屋にシャルが入ってきた。


「って……えええ!?」


「えええええええ!?」


 シャルは私とサーラの情事を二度見すると、真っ赤な顔で困惑するのだった。





あとがき


お待たせしました。第2章になります。


続きが気になる。更新頑張ってと感じて下さいましたら☆、♡にて応援お願いします。

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