S4話 シャルロッテとリーゼモニカ
俺の名前は
シャルには俺のスキルは、影魔法のようなもので他人に同化出来ると説明してあり、今は馬車ではなく馬に騎乗しての移動中。俺は憑依中だけどシャルに全てを任せている。
「カレンは移動中あたしに同化?っていうの?隠れてもらってるから護衛してる感無いよねぇ?」
「うん、リゼとシャルの2人旅にしか見えない」
「それに、馬車賃も船賃も2人分で済むから、格安ツアーにご案内みたいな感じ?」
『こんな安全に護衛してもらってとても助かるわ』
「カレンのスキルあっての物」
「そうそう、あたしらも楽だから、気にしない気にしない」
あとリーゼからはスキル精霊魔法、シャルからはスキル賢者を拝借させてもらっている。
タールベイトの町を出て、さらに東へ向かう。山を迂回した先に見えてくるのが、湖に面した王国辺境の村ロンドレイクというらしい。
「もうすぐロンドレイク村、その先はもう隣国」
「早いねぇ!この調子なら明日には出国出来るかもじゃん」
ロンドレイクで休憩を取ってから、明日一気に移動して隣国のマルズエス帝国に入国する予定だ。
『ありがとう。お陰で何とかなりそうだわ』
「いいよいいよ、お礼なんて」
ん?耳を澄ますと、遠くから馬車が近づいている事に気がつく。
「シャル、今の馬車」
「うん、あの馬車怪しいねぇ」
この道は普段馬車の通らないような荒れた道なので、ここに馬車がいる事自体が怪しいのだ。
「はーい!そこの怪しい馬車?止まんなさい」
シャルが馬車に向かって呼びかけると、相手は直ぐに反応した。
「おい、アイツら付けて来やがるぜ?」
「何ぃ?なんだ女じゃねえかよ、しゃーねぇなぁ、ヤっちまうか?」
どうやら、停止して襲ってくるようね。
『ここは、私にまかせてくれるかしら』
「え?カレンが?大丈夫なん?」
私はスキル憑依を使って盗賊と思われる人達に憑依しては仲間をぶん殴り、仲間に攻撃させ馬車を鹵獲し、盗賊を行動不能にしていった。盗賊のスキルを貰っておくのも忘れない。
「ひゅーカレン、やるじゃん」
「護衛必要?」
馬車の中には若い女の子が5人、縄で結ばれて転がされていた。
人攫いだろうか?
「もう大丈夫よ?みんな」
「……ぁう……た……す…けて」
「悪い奴は倒したから大丈夫、安心するっしょ」
彼女たちに事情を聴くと、彼女達はこの先にある村ロンドレイクの住人で、人攫いの盗賊に捕まり売られるところだったらしい。
丁度これからその村に行く予定だったから、ついでに送っていくと言ったら喜ばれたので、護衛ついでに送り届けることになった。
彼女たちに憑依してスキルを確認しておく事も忘れていない。その中に一人気になる人物がいたので、接触することにした。
彼女の名前はサーラ、とても可愛い猫耳の獣人だ。サーラは収納魔法を持っていた。多分貴重なスキルなので狙われることも多いだろう。
「こんにちはサーラちゃん?私はカレンよ」
「カレンちゃん?」
「うん」
「サーラちゃんはロンドレイクに住んでるの?」
「ん~ん、違うにゃ」
サーラちゃんはこの先の村の住人では無いらしい。他から攫われてきたのかしら?
「お父さんとお母さんは?」
「分からない」
どうやら、知り合いもいないみたいね。さて、どうしましょうか。
ロンドレイクに着くと衛兵に捕えた盗賊を引き渡し、捕まっていた住人を開放して家に帰ってもらった。
サーラちゃんは行き先がないので、私達と一緒に宿に泊まる事になった。
「まずは腹ごしらえよ!」
湖鳥亭と言う宿を確保して食事を取る為、一階に降りる。
「さあ!明日は隣国まで一気にいくよ!しっかり食べて明日に備えるよ!」
「「「おおう!」」」
湖が近いだけあって魚料理が美味しい。
「美味しい!うまぁ!」
「ほら、サーラちゃんも食べて食べて!」
「サーラも食べていいの?」
「遠慮は、要らない」
「サーラちゃんも食べよ?お魚は嫌い?」
「ううん!おさかな大好き!」
「良かったね?サーラちゃん」
この宿で借りた部屋は二部屋で、私はサーラと一緒の部屋で寝ることになった。
「サーラちゃん一人で寝れる?」
「ん~ん、無理一緒に寝てほしい」
「うん、おいで」
私はサーラを自らの布団に招き入れると、自分の豊満な胸にサーラを抱き込み頭を撫でてあげる。すると安心したのかサーラからは寝息が聞こえてくる。
「疲れたのね、お休みサーラ」
翌朝、早々に準備を整え朝食は弁当にして出発する。違うのは旅のお供が一人増えたという事。
旅の仲間にサーラが加わったことで護衛対象が二人に増えた。私はサーラを守るために憑依先をシャルからサーラへと変更して、いつでもサーラを守れるように体制を整えたのだった。
私の護衛って意味あるの?
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