S2話 転生2日目
何度でも確認する。俺の名前は
そしてここは多分地球のどこかの国の王城の地下にある牢屋。鉄格子が嵌めてあって鍵を開けないと出れないようだ。
あれ?地球のどこかなら日本語通じてるのは変だよね?昔は日本人が住んでたのかな?
まさか異世界だったりして?あはは。
じゃ「ステータスオープン」って言ったら出るんじゃない?
……出たよ?俺の目の前に青白い透明なタブレットのようなものが表示されちゃったよ?
……ってことは、ここは異世界決定!ははは。いや、マジですか?
ではでは、ステータス確認って、低いー!、って当然だよね?ゲームだって最初はレベル1だし。
あ、でもスキルが存在するようだな。スキル「憑依」か。おお?なんか使えそう。
それよりもここから出ないと殺されるか、その前に取り調べという名目で凌辱される危険があると思う。超ピンチなんだね。「憑依」が使えないかな?
「へへへ、よう囚人。お前死刑が決まってるんだろう?……こんなに可愛いのにもったいねぇよな、折角だし死ぬ前に俺と楽しもうぜ?」
早速ひげ面のやばいのが来やがった。鎧を着ているが牢屋番の人かな?俺の大きい胸を嫌らしい目で嬲るように見ている。
「ええええ!?童貞捨てる前に男となんて無理無理!俺に手を出したら絶対後悔するよ?やめた方がいいよ?」
「お前知らないのか?聖女様への暴行は最低でも死罪って事をよ?」
「な!?」
なんとか、ここから出ないと駄目みたい。さっき確認したスキルを使ってみようかな。……えっとたしか。
「
「なんだなんだ? !!」
おっと、どうやら成功したようみたいだね。スキル憑依は他人に乗り移ることが可能。これで強い人を操ればここから出られると。さて、まずはこの牢屋番だな。
あとスキル憑依の効果で牢屋番のスキルが手に入った。牢屋番のスキルは剣術2。ただし、熟練度のようなものがあり、すぐは使えないみたいだ。
スキル憑依の効果としては、憑依中の人物の能力値を自身の能力に加算。またスキルを一つ覚えることが可能などチートな内容。ただし、特殊スキルは覚えられない。
今の俺は、格子越しに牢屋番に憑依して牢屋から脱け出す事に成功したので、ひげ面の鎧を着たおっさんになっている。名前はローゼフ・ムニオン、使用出来るスキルは剣術2、装備武器は短剣。
まず地上に出たら門番に挨拶し王城から脱出、さらにこの王都から脱出を図る。ローゼフは金を持っていたのでその金で馬車の定期便に乗り東へ向かう。
東方面には幾つかの町村を経由すると隣国マルズエス帝国があるので、当面の目的地はそこになる。
そして、馬車に揺られること1日。ローゼフが寝ている間に馬車に同乗している人に憑依してスキルをゲットしておいた。貰ったスキルは縄抜け、短剣術、乗馬術、生活魔法、解体術の5つ。
縄抜けは厳つい顔をしたひょろっとした人物、短剣術は小さい女の子、乗馬術は御者の人、生活魔法は女の子の母のような人、解体術は冒険者っぽい恰好をした男の人からそれぞれ1個ずつ拝借した。
スキルを貰ったとしても、練習しないとすぐは使えないようなので取り合えずといったところか。
「その鎧、王国の騎士さんかい?」
「ええ、まぁそのようなものです」
ローゼフの着ている鎧は王国の騎士のものだったらしい。ってことはローゼフは一応騎士という事になるのか?
俺は取り合えずローゼフとして行動し、まずこの国を出ることを目標とする事にした。
ローゼフには憑依の間の記憶が残らないように眠ってもらっている。俺が憑依を解除しても牢屋の前にいたことまでしか覚えていないはずだ。
ともかく、カレンの体に戻ると指名手配されている、とかあるかもしれないし、危険なことは間違いない。
馬車が次の町に着くと、まず宿を取らなくてはならない。幸いお金には余裕がありそうだ。
町の名前はタールベイト。まだ王国内なのでローゼフの顔を知っている者もいるだろうから慎重にと思っていたら、知らない親父に声を掛けられた。
「おい、ローゼフじゃねぇか?暫くぶりだなぁ」
「えっと、お前は……」
「おいおい、俺の顔を忘れたのか?バックスだよ?ほれ、冒険者ん仲間だった」
「そう、そうだった。バックスな久しぶりだな」
こいつはバックスという冒険者らしい。
「そういや、ローゼフ、王国騎士団の副団長就任、おめでとう。おめぇは、俺らの中じゃ出世頭だからなぁ。そろそろいい女でも出来たんじゃねぇか?がははっ」
いや、
それから俺はバックスと飲みに行き、この町の情報を引き出した。ついでにバックスに憑依してスキル身体強化をゲットした。
王国騎士団の副団長ということは、顔が知られている可能性が高いな。いっそのことバックスに乗り換えるか?
いや、ローゼフは牢屋番だったやつだ、ローゼフと俺が行方不明となっているとなると、ローゼフが俺を逃がして行方不明?ローゼフも指名手配?
……いやローゼフは副団長だから指名手配という線は無いか。
俺は考えた末、しばらくはローゼフの体を借りたままで過ごすことにした。
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