17話 カレンとデート? 

ちょっと短いです。



side カレン




 昨日マコ様は、雫ちゃんとのデートにわたくしも連れて行って下さいました。水族館では見た事もない不思議な魚、色鮮やかで素敵な魚が食べられはしなかったけど、とっても楽しかったです。


 ゲームセンターでのエアホッケーって言うんですか?あれは全然ダメでした。白くて丸いものをこう叩くんですけど、自分の方に入っちゃうんです。最初は自分の方に入れればいいと思って自分で入れてましたけど、だめだったらしいです。


 あとは、乙女道路って所に案内されたけど、どこが乙女なのかが分かりませんでした。マコ様に女の子向けのアニメとか漫画屋さんが集まっているって言われたけど、何のことでしょう?


 タワーの展望台は眺めがよくって良かったです。天気がいいと富士山?が見えるらしいですけど、昨日は見えませんでした。天気のいい日にまた見に来れたらいいですね。


 ……そして、家に帰ってからの雫ちゃんと憑依したままでの更新作業は……マコ様、いつもよりも、エッチな顔をしていました。はぁ♡……今思い出しても起ってしまいます。


 それで、今日のデートはわたくしの番で、マコ様とデートの日のはずなんですけど……。わたくしの隣には雫ちゃんが寝ています。


 あれ?マコ様はどこに行かれたのでしょう?先に起きて朝食の支度でもしているかもしれません。


 布団から出て隣の部屋を覗きましたが台所にもいません。トイレでしょうか?


「マコ様?」


 トイレの電気は付いていませんでした。トイレの中にもいません。散歩にでも出て行ったのでしょうか?

 あっ、そういえば昨日は雫ちゃんに憑依したまま寝てしまったのかもしれませんね?


「雫ちゃん起きて下さい?」


「ん~、カレンさん?おはよう」


「おはようございます。あの、雫ちゃん?マコ様は憑依されてますか?」


「ん?お兄ちゃん?お兄ちゃんいる?……返事はないよ?憑依してる感じもないし……」


「そうですか……」


「お兄ちゃんがどうしたの?カレンさん?」


「マコ様が、見当たらないんです」


「え!?嘘!?」


 玄関の靴はそのままだったので、出かけてはいないようですが姿だけが見当たりません。


「……まさか?」


「カレンさん?お兄ちゃんとの契約……切れちゃった?」


「嘘です!そんな昨日だって更新……」

 

 昨日の更新は、雫ちゃんに憑依したままでした……。体は雫ちゃんでマコ様ではありませんでした。もし、契約が体との契約であったならば……憑依していないマコ様との更新でないといけなかったとしたら?


 体から血が抜けたように顔が青ざめていくのを感じます。


「…………憑依ではダメだったのでしょうか?」


「契約切れなんて、そんな……お兄ちゃんはもう帰ってこないの?」


「……分かりません」


「もっかい呼んでよ!お兄ちゃんを召喚して!カレンさん!」


「そ、そうですよね!ダメ元です。--顕現イーラ!」


 戻ってください!!マコ様!わたくしとのデートまだじゃないですか?約束しましたよね?わたくしと結婚して子供を作るって!お願いします!お願いします!


「…………」


 何も起きません。


「スキルに反応がありません……」


「そんな……」


顕現イーラ顕現イーラ顕現イーラ顕現イーラ顕現イーラ!」


「カレンさん?」


「マコ様!マコ様!マコ様!マコ様ああああああああああ!!!」


「カレンさん!」



 ――結局、マコ様はスキル顕現でも召喚に応じる事はありませんでした。




side 桜川雫




 ――お兄ちゃんが消えた。金髪の心の方のお兄ちゃんが消えてしまった。


 その日から、私達、お兄ちゃんの彼女達には……辛いお通夜状態が続いた。カレンさんの話では、お兄ちゃんは契約切れで異世界に帰ってしまって時差のせいでもう死んでいるかもしれないとの話だった。全く信じられません。デートしたばっかりなのに……もう死んでるだなんて、嘘だよね?嘘だと言ってよ!?ねぇ!!


 カレンさんは、あの日から部屋に籠って出てこなくなった。学校にも来なくなった。

 私が会いに行っても、「帰ってください!」と家にさえ入れてくれない。


 やっぱりお兄ちゃんだけが、カレンさんの心の拠り所だったんだね。


 あの日、私に憑依したままエッチしたせいで、お兄ちゃんは違う世界に帰ってしまった。私のせいだ。お兄ちゃんとさせてあげればよかったと、今更言ってもお兄ちゃんは戻ってこない。私がお兄ちゃんの部屋に泊まらなければ、こんな事にはならなかったかもしれない。


 私がカレンさんとお兄ちゃんの邪魔をしてしまったんだ。


 今日も、お兄ちゃんは戻ってこなかった。


 結城先輩と藍沢先輩にも悪い事をしてしまった。私が欲張りだったばかりに、大切な人を失くしてしまったのだから。



 お兄ちゃん、私はもう我儘は言いません。だから、お願いです!戻ってきてください。……カレンさんの元に。


 

 

第一章 終わり




 

 

あとがき



現実世界のカオスはいったん終了となります。

真が異世界に戻るのは、もっと後の予定でしたが、ここでターニングポイントとさせていただきます。



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