16話 妹とデート
幼馴染の佳奈とデートした翌週、先週に引き続き、今日は雫とデートの日だ。
妹の雫は、正確には私の彼女ではない。
一応、告白して愛は確かめ合ったけど、実の妹に付き合うとは言ってないし?
強引に「私の物になりなさい」なんて言っちゃったけど、カレンに取られたく無かったって気持ちの方が強い。
カレンにしろ、私にしろ妹とは結婚出来ないのだから仕方ないのかしら?
実の妹としてしまったのは、今考えても私はあの時はどうかしていたと言わざるを得ない。カレンに寝取られて気が動転していなければあんな事にはならなかっただろう。
あの時、ノリノリで憑依まで披露してしまったのはやり過ぎだったと後悔している。
こうなったのはみんなカレンのせい。自分の行いを人のせいにするな、と言われるかもしれないけど。
異世界からスキル顕現にて私を呼び戻したのもカレンだし。スキルの更新で毎日私にエッチな事してくるのもカレンだし、妹もカレンに取られそうになったし、実際間違いとはいえ寝取られたし。
まぁ、実際体が入れ替わっちゃっているので、どっちが悪いとも言えないのよね。
何にせよ、今日は妹の雫とのデートの日なのだけど、雫にはスキル憑依は使わないと言ってあるし、カレンは連れて行かない予定。
そもそもカレンを連れて行ったらデートじゃない……。と、思っていたんだけど……。
妹の雫は朝早くから、いや……昨日の夜から私の家に泊まり込んでいるので、カレンとの更新作業が捗っていない。……契約切れが心配だわ。
あの狭い一人用のベッドに3人、私は体が小さいから大丈夫だけど、ずっと密着しながら寝ていたのであんまり眠気がとれていない。
「ねぇカレンさんは?一人で留守番なんて仲間外れは可哀そうだと思わない?ねぇ、お兄ちゃん?」
「そうは、言ってもね」
「先週もカレンさん一人で留守番させておいて、婚約者として可哀そうだとは思わないの?お兄ちゃんは鬼ですか?」
確かに私だけデートに出かけて、カレンを置いて行ってしまっていた。これでは婚約者の事を
「今日は、雫と二人っきりのデートを楽しむ予定じゃ無かった?」
「それはほら、臨機横転みたいな?」
……それを言うなら、臨機応変ね。
「そうだよ!お兄ちゃんがカレンさんに憑依すれば、見た目は二人っきりのデートになるよ?うん、そうしよう!」
雫は、どうしても私にスキルを使わせたいらしい。3人でデートに行きたいっていうのも、そのためかもしれない。
「それだと、私がつまらないのだけど?憑依してると、第三者目線で相手を見るような感じなのよ?」
「完全憑依ならお兄ちゃんも楽しめるでしょ?」
やっぱり、雫は私をカレンに完全憑依させたいみたいね?
「それだと、カレンがただ見てるだけでつまらないし、同じに事になるの」
「こっちを立てると、あっちが立たずって感じかぁ」
「そうね」
すっかり忘れてたけど、別にカレンに憑依しなくても別の人にも憑依できるのよね、私。……と考えた私は、雫にちょっと意地悪な提案をしてみる事にした。
「それじゃこうする?私が、雫に憑依するの」
「ふぇ!?わ、私に憑依?」
「私と本当の意味で、一つになれるわよ?」
「……お兄ちゃんと、一つに……なれる?」
「完全憑依で私の為すがままになってみる?」
「お、お兄ちゃんが私の体を?思い通りに?……はぅ♡」
あら、感じちゃって、雫は乗り気になりそうな感じね。
「素敵な提案ですが、その
「?良いわよ?」
こうして、今日は雫とのデートの筈なのに、何故だか3人で出かける事になったのよ。どうして?
◇◇
side 桜川雫
今日はお兄ちゃんとデートする日なんだけど、今日もお兄ちゃんは、体の方のお兄ちゃんを家に置いていくと言う。
お兄ちゃんは、2人でお兄ちゃんなんだよ?半分のお兄ちゃんとデートしても、それは半分しかデートしたことにしかならないよね?だから私とのデートには、カレンさんとお兄ちゃんの二人が一緒じゃないと駄目なんだよ?
それと、お兄ちゃんは、カレンさんとの完全憑依を封印する、なんて言っちゃって。私だけは知ってるんだよ?お兄ちゃんが私だけにしてくれた事。お兄ちゃんは、お兄ちゃんの意思で、私をお兄ちゃんの体で愛してくれた。
……お兄ちゃんは、我慢出来るのかな?
スキルを封印していたお兄ちゃんが、私との憑依を提案してきた。何やらお兄ちゃんと一つになれるらしい。いつもカレンさんとしているやつだ。
憑依には興味はあった。私の中にお兄ちゃんが入ってくる。いやお兄ちゃんの心、精神といったものが私と一つになる。なんて甘美な誘い文句なのか。体験したい。お兄ちゃんと一つになりたい!でもそれは今じゃない。
だから私は、
それに、デートは3人でしたいしね!
「それでデートに行く場所は決めてあるの?お兄ちゃん」
「
「水族館だと、池袋が近いわね」
「あ、いいね結構久しぶりかも、シャイニー水族館」
池袋までは、バスに乗って乗り換えなしで着くので距離はあるけど、案外近かったりする。
3人でバスに乗って池袋で降りる。混んでいたので雫は椅子に座らせて、カレンは一応男の子だし、私の横に立って私と手を繋いでいた。
バスを降りてから雫は私の左手に手をまわして繋ぎ、カレンは私の右側の腕に自分の左腕を絡めてきた。
一見すると仲良し女の子3人組に見えるだろうけど、一人男の子が混じっていますと言われて気付く人はいるかしら。
こんな繁華街で、美少女3人が歩いていたら当然ナンパも現れるわけで。でも、追い払うのは慣れているし、いざとなったらスキル憑依でナンパ野郎を昏倒させる事は容易い。何度か昏倒させて追い払っていると、いつの間にかエレベーターの中で、既にシャイニー水族館へ着いていた。
入園チケットを3人分購入し、中に入ると順路に沿って歩くのだけど、私の両手は塞がっていて連れて行かれるままになる。
「ちゃんと、3人分買ってくれたんだね?」
「?」
何がちゃんとなのか考えてみたけど、なるほど憑依すれば二人になるからか?との考えに行きつく。
「そんな事しないわよ?今日は3人で来たのだから」
「マコ様!美味しそうな魚がいっぱいです♡」
「食べないからね?」
「え?」
「「え?」」
「こんなにいるのに、食べないんですか?勿体無いです」
カレンは、水族館を生きたショーケースの魚屋と勘違いしているようね。
「獲った魚は、その場で捌いて焼いてくれるんじゃないんですか?」
「どこの漁港の事言ってるのかな?」
「では、食べないなら、食べられる所に行きましょう!」
「もうちょっと、水族館楽しもう?」
「きゃー、このお魚小っちゃくて可愛い!お兄ちゃん見て見て!」
「ここは熱帯魚のコーナーね」
カラフルで様々な色をした熱帯魚が泳いでいて綺麗だ。
「マコ様!大きな魚です!これ食べましょう!」
カレンが涎を垂らして見ているのは、マグロが泳いでいる大水槽だ。
「この魚なら食べられるお店あるわよ?お寿司屋さんとか」
「お兄ちゃん、私もお寿司食べたいかも」
結局食い気には逆らえず、水族館を一通り回ってから外に出て、シャイニー通りを歩いて、美味しいと評判のお寿司屋に入る。
「らっしゃい!何名様ですか?」
「あ、3名で」
「はいよ!3名様!ご案内!」
なんか、……威勢のいいお寿司屋に入ってしまったようだ。店員さんが?寿司職人さんが気合入ってる?
「カレン、これがさっきのマグロって言うお魚よ?」
「赤い身が白いご飯の上に乗ってます!?」
「これはお寿司だよ?カレンさん。お醤油付けて食べるんだよ?」
「これは、もぐもぐ……美味しいです!」
「うん、美味しいけど、食べ過ぎないでね?マグロは高いのよ?」
「炙りも美味しいです!こっちの白いのも!はぅ♡幸せですぅ……」
「イクラも美味しいよ?カレンさん」
「本当です!?この宝石みたいのは?」
「鮭っていう魚の卵だよ?」
「寿司屋では人工イクラの方が多いみたいだけどね」
「これもお勧めよ?ネギトロっていうの」
「それ私も好きーネギトロ頂戴?」
……結構食べたわね。
満腹になり満足した2人を連れ、乙女道路を案内したり、シャイニータワー60の展望台に行ったり、ゲーセンなどに行って池袋を堪能した私達。
時間的にもそろそろ帰らないといけない時間だ。
「デートもそろそろ終わりかしら?」
「いいえ、まだです。帰るまでがデートです!」
やっぱり3人いるとなると、デートのような良い雰囲気になる事もなく。何事もなく友達感覚のように遊んだ感じがする。
来た時と同じように帰りのバスに乗り、家の近くのバス停で降りる。
「で?雫は今日も泊っていくの?」
「勿論だよ?モチのロンだよ?」
えぇ?何で2回言ったの?
「じゃご飯は何か買って帰りましょう」
今日はもう疲れたので、近くのスーパーでお弁当を買って帰る。
明日のカレンとのデートは……あぁ……もう。今日デートしたからいいのね。
「お弁当!お弁当♡マコ様?どれでもいいんですか?」
カレンはお弁当を珍しい物を見るように選んでいる。そういえば、異世界にはお弁当屋は無かったわね。
「好きなもの選んでいいわよ?」
「では、
カレンが選んだのは、色々と入っている幕の内弁当。雫は鳥飯弁当。鳥飯弁当と、から揚げ弁当の違いは唐揚げを切ってあるかどうかの違いでしかないのだけど。それでも何故か鳥飯弁当の方が安くて美味しいのは何でかしら?
家に帰ってご飯を食べてから歯磨きをする。カレンにも歯磨きは教えてあるのでカレンにも歯ブラシを渡してある。
雫はお泊りセットを持ってきていて自分で歯ブラシを出してきた。
「雫?今日は、お風呂入れたから入ってきていいわよ?カレンは後で入ってね?」
「何言ってるんですか?お兄ちゃん?」
「え?」
「お兄ちゃんも一緒に入るんですよ?」
何言ってるの?雫?うちの風呂は狭いからそんなスペースは無いと思うんだけど。
「はい!お兄ちゃんの憑依を私に使って下さい。朝、約束したこと覚えてますか?」
「覚えてるわ……でも、このタイミングで?」
「そうですよ?」
「分かったわ。
「はぅ!♡お兄ちゃんが……私の中に!♡」
『雫?大丈夫?憑依は出来てるわよ?』
「……ダイジョウブです♡それでは、お兄ちゃんが私の服を脱がせてください」
『はい?』
「私に完全憑依して下さい♡」
『えーっと、本気?』
「本気です!お兄ちゃんの手で私を洗ってほしいんですよ?」
『じゃ完全憑依!』
『はぅ♡動けない!?』
「じゃ脱ぐわよ?」
私は雫の服を脱いでいき、下着も脱いで風呂場の扉を開ける。一応脱いだ服は畳んでおいた。
『あぅぅ♡お兄ちゃんに全部脱がされちゃいました♡見られてる♡全部見られてるの♡』
「雫?本当に大丈夫?」
『大丈夫です。お兄ちゃん。私の髪と体を洗って下さい。』
「シャンプーとリンスは?」
『私のを持ってきてるので、それを使って貰えると』
「あ、これね?」
『はい』
それから雫の髪を雫の持ってきたシャンプーとリンスで洗ってから、体をボディーソープを付けて洗う。
『あ、お兄ちゃんボディーソープを付けたら、素手で洗って下さい♡』
「素手で?タオルは使わないの?」
『素手で洗って下さい♡』
「えぇ~、これでいいかしら?」
『ダメです。おっぱいは揉み洗いして下さい♡』
「も、揉み?こ、こう?あん♡……なんか気持ちいい……かも♡」
『あぁ♡いいんですよ?お兄ちゃん♡もっと激しく♡』
「って……何やらせるのよ?」
『そのままオ〇ニーしてくれるかなって?』
「しないわよ?」
『ちぇっ……』
「……もういい?」
『まだですよ?お兄ちゃん。もっと楽しみましょう♡』
何とか洗い終わった私は、湯船に入ってため息をつく。疲れるわ。
私は、妹の雫に完全憑依したまま風呂から出てパジャマに着替えた。
「カレン?風呂空いたわよ?」
「はい!行ってきます!」
『憑依は解かないでくださいね?』
雫は何を考えているのか、そのまま憑依を解くなと言う。
「はぁ、雫ちゃん味のいいお湯でした♡」
「何言ってんのカレン?」
「今日はまだ更新してないんですけど、完全憑依しているマコ様なら更新できますね?」
「え?え?まさか……?」
「今日はマコ様、雫ちゃんバージョンで行かせてもらいますね?」
「えええええええ!?」
『いいよ♡お兄ちゃん♡』
「痛くしませんよ?大丈夫です♡」
そこまでしないけど?」永続契約はしないし?でも、実は結構濡れてるし?
「んん♡……」
『あん♡』
その日の更新の儀はけっこう雫も良かったらしい。
あとがき
雫ちゃんグッジョブ!と思われましたら、
執筆を続ける励みになりますので☆☆☆、♡にて応援の方、よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます