15話 カレンと妹と委員長の女子会



side 桜川雫



 今日、お兄ちゃんは藍沢先輩とデートに出かけている。昨日もお兄ちゃんは結城先輩とのデートだったから、留守番で一人寂しそうなカレンさんを慰めに来たら、大事なところで藍沢先輩に邪魔されてしまった。そう、藍沢パイセンは今日は不在なのです。

 当然、今日のカレンさんはフリーダム?……うふふふふ。

 と、いう事で……今日こそカレンさんにして貰うために会いに来たんだけど?

 お兄ちゃんの家に、結城先輩が来てるってどういう事なの!?


 ……どうやらお兄ちゃんの差し金みたい。やっぱり、お兄ちゃんはカレンさんを独り占めしたいらしい。ほんと狡い、お兄ちゃんは狡いよぉ!


 お昼にお兄ちゃんが作ってくれたカレーを食べた後、結城先輩とカレンさんは洗い物をして、洗ったお皿を棚に片づけてる。でも、お兄ちゃんって一人暮らしで、部屋は狭いのに人数分の食器があるなんて……、元々あったのかなぁ?それとも、今日のために?必要になるから買ってきたのかな?でも、まだ食器の数には余裕があるんだよね?


 んん?……って、お兄ちゃん!?いったい何人連れ込む気なの!?もうやめて!?




◇◇



 カレンさんと結城先輩が台所から戻って来てカレンさんは私の隣に、結城先輩は私の向かいに座った。

 いいかな?今日も始めるよ?


「さぁ!テーブルの片付けも終わったし、今日の女子会を始めるよ?」


「女子会?って昨日も言ってましたね」


「昨日もって事は、妹君は昨日もここに来てたのかい?」


「当然です、お兄ちゃんがいる場所が、私の居場所ですから!」


「うん、良く分からないけど……ここにいるのは、真君じゃなくてカレン君だからね?」


「そうですよ?わたくしはカレンですよ?」


「でも、カレンさんの体は、本物のお兄ちゃんだよね?」


「そうだね、だけど中身はカレン君だよ?」


「はい、なので意識を奪ってしまうか、眠らせてしまえば……」


「ひぃぃぃぃ!!雫ちゃん!?」

「ええ?何それ怖い、怖いよ?」


「し、雫ちゃんは、わ、わたくしの……か、体だけが?目的、……なんですか!?」


「ふふふ、やだなぁ……冗談だよぉ?」


「雫ちゃんが言うと、冗談に聞こえないんですけど?」


「もう、真君が僕に留守番を頼んできたのは、こう言う事なのか?」


 ……やっぱりお兄ちゃんの差し金なんだね。それなら、こっちにも考えがあるんだよ?


「……ところで結城先輩。昨日はお兄ちゃんと、お楽しみでしたよね?どうでした?お兄ちゃんは気持ち良かったでしょ?」


「ちょ、見てたのか?えぇ?どこから?……でも家には二人だけだったはず……」


「ちょっと、カマかけてみたけど、やっぱりエッチしたんですね?」


「な、そ、そんなことはしてない。だって女の子同士じゃないか?」


「あぁ……マコ様……」


「女の子同士だって、エッチくらいできるよねぇ?」


「それは……まぁ、出来なくはないな」


 結城先輩は、頬を染めて赤くなっている。昨日の事でも思い出してるのかな?


「ほら、カレンさん?ね?やっぱり、お兄ちゃんは浮気してるんだよ?そこの先輩と、エッチな事して来たんだよ?」


「えぇっ……!?そうなんですか!?遥ちゃん?」


「えーっと、僕は真君の彼女だからね?これは浮気じゃない。たぶん?」


 ふーん、まだそんな事言うのね?先輩は。


「でも、結城先輩って女の子とも出来ちゃうんだ?だったら、私としてもいいんじゃないですか?」


「え?いや……それは、出来ないよ?」


「ふーん、それは、どうしてですか?」


「だって……僕は、僕は真君が好きだったんだから!」


「えぇ!?……先輩って、やっぱりそっちの人?」


「確かに、僕が告白した時の真君は男の子だったよ。それが女の子になって帰ってきて悔しかったさ。でも、気が付いたんだ僕は。僕は、女の子みたいに可愛い真君を好きになった。それが女の子だったら?いいじゃないか?もっと大好きになったよ。いや、僕は女の子の真君を愛してさえいる!」


 結城パイセンぶっちゃけた!?結城パイセン、まさか百合の人だったの!?これは流石に、ガード固いよぉ?


「ん~なら、中身が女の子のカレンさんは?外見も私にそっくりで、すっごく女の子だと思うけど?」


「僕は、真君の優しい心に惚れたんだ」 


 いや、さっき女の子みたいに可愛い真君を好きって言ってたよね!?心はどっから来たの!?


「カレン君、妹君、確かに君たち二人は、男の子だった時の真君よりも可愛いし、素敵な女性だと思う」


 えぇ!?逆に私達を落としに来たの?素敵だなんて、いやん、結城パイセン!?


「だったら……」


「僕は真君を愛しているんだ。君達じゃない」


 やだぁ……お兄ちゃん、超愛されてる~!


「わ、わたくしもです!わたくしも、マコ様を愛してます!負けませんよ?」


「私も、お兄ちゃんを愛してるよ?男としても、女としても、二人とも」


「「二人とも!?」」


「カレンさんは男のお兄ちゃんで、お兄ちゃんは女のお兄ちゃん。って言ってて良く分からないけど?」


 だって、お兄ちゃんが二人に分かれちゃったんだから仕方ないよね?


「雫ちゃん……わたくしの事は、カレンとして……では無いのですね……わたくしは、お兄ちゃんではありませんよ?」


 あ、しまった!せっかく落としたカレンさんが……暗黒面に落ちちゃう?


「カレンさん、違うよ?私はカレンさんも、好きなの♡だから、ね?またしようね?」


「あっ……はい♡……です?」


「この二人は……、真君……これでは目が離せないではないか?」



◇◇



「と、いう事で次の議題に移ります。お兄ちゃんの携帯、スマホについて!」


「マコ様の携帯は、今はわたくしが持っていますね」


「そうなると真君は、今は持っていないという事かい?」


「そうです!このままではお兄ちゃんと連絡が取れません。デートの邪魔も出来ないんですよ?」


「それは、別にいいけど。そうか、困ったな」


「そこは、結城先輩のポケットマネーで、ポンっと出てこないかな?」


「いや、確かにうちの親は金持ちだけど、僕はそんなにお小遣いを貰っているわけでは無いよ?」


「遥ちゃんは、お金持ちなのですか?」


「カレン君のような、公爵家ほどは持っていないよ?……はぁ……分かった、親に相談してみるよ」


「すっごい美少女の外人さんを拾ったので、連絡するのに携帯持たせたいってお願いするとか?」


「それ、いいかもです!」


「その時はお兄ちゃんを連れて行くといいと思うよ?めっちゃ可愛いから、先輩のお父さんもメロメロになっちゃうかも?」


 携帯電話の件は、結城先輩に任せる事になったので一安心。

 三時のおやつは、結城先輩が持ってきたシフォンケーキと紅茶でティータイム。これが結構美味しかった。その後もテレビを見たり、一緒にゲームしたりして遊んで、気が付いたら寝ちゃってた。


 次のデートは私の番だし今日は帰ろうかな?結城先輩は、カレンさんに手を出したりしなそうだし。私は邪魔されるし。


「それでは、また明日学校で?」

「妹君の家からだと、遠回りだから無理してここまで来なくてもいいと思うよ?」

「でも、先輩は来るんですよね?」

「僕は真君の彼女だからね」

「私はお兄ちゃんの妹ですからね?あれ?私って彼女じゃ無いの?」

「いや、付き合っているなら彼女だろう?」

「私は突き合ってるけど、私はお兄ちゃんの物だけど、愛し合ってるけど?彼女でいいのかな?」

「真君にとって妹君は、もう彼女になってると思うけどね。次のデートは妹君の番だろう?」

 そうだった。次のデートは来週になるけど、私の順番なんだよね?


 ……遂に、……念願の!女の子の方の、本当のお兄ちゃんとの初デートなの♡






あとがき



雫ちゃんデート頑張れ!百合もいいかも!と思われましたら、

執筆を続ける励みになりますので☆☆☆、♡にて応援の方、よろしくお願いします。














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