12話 委員長とのデート
異世界では、実際に女の子数名と付き合っていた私。
いくら女の子の体になっても、男の人を好きにはなれなかった。
性同一性障害の人ってこんな気持ちなんだって、良く分かるようになった。
当然、元の世界に戻って来た所で変わることは無く、私が男の子を好きになる事は無い。
私は今でも女の子が好きなのだから。
そして、異世界では複数の人とお付き合いするのは普通の事だったので、その感覚のままやってしまった。
そんなの言い訳にしか過ぎないと、捉えられても仕方ない事を私はしてしまった。
いや、現在進行形でしている。
婚約者のカレン、妹の雫、幼馴染の佳奈、委員長の遥。合計4人と付き合う事になった私。うち女の子同士が3人、自分同士?が1人。こう考えてみると普通の恋愛とは程遠い。
異世界にいた頃さえ4人同時は流石に無かった。最大でも3人だった。
え!?異世界でも、今とそんなに変わらないって?
そうそう、忘れそうになるけど、異世界には残して来た私の彼女達がいる。肉体関係はまだ無かったけど、一緒に住んでた大切な彼女達。
私が異世界から消えたことで、多分寂しい思いをさせてしまっている。今異世界に戻った所で会えるとも分からないけど。異世界との時差がある限り、絶対にもう会えないから。
◇◇
佳奈とも付き合うことになったその後の事、妹の雫も含めて、カレン、遥、佳奈との話し合いの結果、彼女達とデートをする事になった。
カレン以外、見た目は女の子同士なので、デートには見えないと思うけど。
彼女らの要望で、デートは2人きりが良いとの事だったので、1人ずつ順番にデートをすることになったのだ。
そして、今日のデートの相手は委員長。
待ち合わせ場所は、オーソドックスに駅前広場だ。
待ち合わせ時間は9時と少し早い時間になる。考え過ぎかも知れないけど、もし泊まりになった時のために、今日のお勤めは朝のうちに済ませて来た。
さっきまで、カレンがなかなか離してくれなかったが、約束だからと言って何とか出てきたは良いけど、カレンは大人しく待っててくれるのか、心配ではある。
「おはよう真君、待たせてしまったかな」
「おはよう遥、俺も今来た所だよ」
デートするにあたり、遥にお願いされたのは、桜川真として以前の俺で接して欲しいという事だった。
女ではなく男として、私ではなく俺として、俺にした瞬間から恥ずかしさが込み上げる。
うわ!やっばい、これって、めっちゃ恥ずかしい!!!
俺の顔は羞恥に耐えきれず、真っ赤に染まっている。
今日の遥の私服は、いつも見慣れた制服と違って白のワンピース?
ワンピースに長い艶のある黒髪が映えてとても綺麗だ。
「今日は、清楚で可愛い服だな、遥にとっても似合ってるよ」
「そ、そうか?今日は真君とのデートだから頑張ってみたんだ、うん」
笑顔を赤らめて、はにかんだ委員長は、とても可愛い。
「こ、こうして委員長、こんな可愛い遥とデート出来るなんて光栄だよ」
「か、可愛い?まぁ、僕は真君の彼女だからね。これからはいくらでも真君とデートするよ」
今日は遥のエスコートによって、映画鑑賞にお昼はスイーツ食べ放題。
見たくもないホラー映画とかだったけど、ずっと遥は俺の腕に縋り付いていて、「キャーキャー」とうるさかった。
遥の胸は佳奈より大きくて雫より小さい。見た感じCカップの上、Dくらいはあるので、押し付けられる感触はとても気持ち良い。
スイーツ食べ放題は、ケーキバイキングがめっちゃ美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまった。
これ、このバイキングは絶対太るフラグだからマネしちゃだめなやつだ。
「あー美味かったぁ」
「僕もちょっと、食べすぎて胃が……」
「胃薬飲むか?そこに薬局あるし買ってくるよ」
「ありがとう、頼むよ真君」
薬局で胃薬と水を購入し、遥に胃薬を飲ませる。自分も胃もたれするので一緒に薬を飲むことにした。
遥が薬を飲むのに使ったペットボトルを受け取る。あ、間接キス?
飲んでから気づいたけど普通に間接キスしてたよ。
「ちょっと休憩する?」
「いや、食べ過ぎたときは、少し歩いてから休憩した方が治りやすいと聞く」
苦しいのは胃の中に空気がたまっているからで、歩くことによって空気を出すと楽になると聞いたことがある。所謂げっぷというやつだ。
近くに公園があったので公園の中を、遥と二人で歩く。
「げふー」
「あっ出た?」
「いや、恥ずかしいから聞かないでくれ!」
「もう無理、げふ」
「あ、真君も出た」
「あはは、でたでた、でももう大丈夫?苦しくないよ」
「あ、本当、苦しくない」
「それじゃ休憩しようか?」
「え?まだ時間早くないかい?ホテルは夜にと……」
いや、別にパークサイドホテルに行こうとしているわけでは無い。
「いやいやいや」
「そ、それなら、家に来ないか?」
「遥の家?そういえば行ったこと無かったっけ?」
とういうことで、俺はそのまま結城遥の家に遊びに行く流れになった。
◇◇
結城遥の家はとても大きかった。お屋敷と言えばいいのか、コンクリート製の壁が高くて中が見えないし、大きい玄関扉だと思っていたら、玄関入ったら庭だったという、それに玄関までが遠いよ?
「まぁ入ってくれ」
「おじゃまします」
「家に男の子を入れるのは初めてなんだ」
「そうなんだ、でも俺、女の子だけどね」
「あぁ、そ、そうだったね」
ここがリビング?広すぎだろ?テニスコートが入りそうだぞ?
「いや、すごく広い家なんだな、びっくりしたよ」
「大した事ないさ、ただ広いだけで、さぁこっちだよ」
案内された先は2階の一室で、扉には「HARUKA」と書かれていた。ここが遥の部屋なんだろう。
「ここが僕の部屋だよ、さっどうぞ入ってくれ」
「では、おじゃまします?」
結構片付いているようだ。委員長にしては女の子の部屋になっている。
「どう、かな?変じゃないかな?僕の部屋」
「遥の良い匂いがする。部屋も可愛いし、遥もちゃんと女の子だったんだなって思ったよ」
「そ、そうか?ぬいぐるみとか、僕には似合わないとか思わないか?」
「思わないよ?クマのぬいぐるみとか、可愛いし遥の趣味が感じられて嬉しいよ」
「良かった。部屋見て嫌われたらどうしようとか思ってたんだ」
「嫌わないよ。俺は遥が好きだからね。もっと遥の事知りたいと思ってるし」
「好き?好きか、そうか好きなんだな、僕も、負けないくらい真君が好きだよ」
委員長、いや遥が俺の小さい体を抱きしめた。俺の胸は巨乳と呼ばれるくらい大きいけど背が低いので丁度遥の胸に俺の顔が埋まる感じになる。
「真君……好き♡」
遥の火照った顔が近づいてくる。そのまま俺は遥にキスをする。最初は軽いキス。
「んん、ちゅ♡、うぅん、ちゅぱ♡れろれろ、ちゃぷ♡ちゅ♡」
徐々に舌を絡めたキスになる。
「はぁっ……んんっはぁ、はぁ……くちゅ♡くちゅ♡真君♡」
「遥、いいの?」
「今日は、僕一人だから、大丈夫だよ」
それから俺と遥は、お互いに大事なところにキスして、何度か絶頂を迎えることとなった。
「しちゃったね、真君」
「……女の子だから最後までは……」
「それは言わないでくれ、僕は真君の体を好きになったわけでは無いよ?」
「そか、ありがとう遥」
その日は遥の家に泊まることなく、夕方には家に帰ることが出来た。
カレンは留守番しているはずだけど大丈夫だろうか?お昼の分は用意しておいたし。
この時間だと早めに夕飯を作ってやらないと、お腹すかせているだろうしな。
そう思った俺は、夕食用の買い物を済ませてからカレンの待つ俺の家に帰ったのだった。
あとがき
デート回になります。真はカレンの影響で、残念ながら貞操観念がゆるくなってしまっています。
執筆の励みになりますので、よろしかったら☆、♡にて応援よろしくお願いします。
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