9話 カレンと放課後委員長



side 桜川真



 放課後、私は憑依を解除してカレンと一緒に下校する事にした。


 憑依といっても、殆どカレンに任せっきりなのでやる事もなく暇だったりする。実際授業以外は殆ど寝ているし。


 校門を出て帰途に着く、今日は早目に出て来たので妹の雫とは会わなかった。

 昨日はまさか後を付けられていたなんて気が付かなかったわ。


「ねぇカレン今日は学校どうだった?」

「とっても、お腹が空きました」


 あーそういえば、お昼ご飯忘れてたわね。


「ごめんなさい、お腹空かせちゃったわよね、明日からお弁当作りましょうか」

「やった♡マコ様、マコ様のお弁当!楽しみです!」

「そうね、とりあえず何か食べに行きましょうか?」

「はいです〜♡」


 カレンのお腹がぐーぐーと限界そうなので、繁華街外れにある一軒の大衆定食屋に向かうと、後ろから委員長に声を掛けられた。


「おーい!真君!」

「あ、委員長?」

「先に帰るなんて酷いじゃないか?真君」

「あ、遥ちゃんですか?えっと、確か一緒に帰る約束はしてなかったですよね?」


「僕はもう真君の彼女じゃないか?一緒に帰るのは当然だろう?」

「はあああああ!?」


 え?え?委員長がカレンの彼女ってどういう事?

 えっと、2年前の事だから忘れてたけど、確か委員長に告白されたのは覚えているわ。


 あの時は確か、待って欲しいって言って「気が変わったら名前で呼んで欲しい」とか何とか言っていたような……。


「あああああああああ!!」


 委員長の事、名前で呼んでるわ!カレン!


「何だ君は?」

「ふーん、「何だ君は」って言ったわね?委員長」

「何だ君はと言われたら?答えてやるのが世の情けなのよ。良く分からないけど?」

「それで君は、真君の何なんだ?」 

「私の名前は桜川真って言っても信じないわよね」


 勢いで自分の正体をバラしてしまったわ。委員長には世話になってたし?まぁいいかしら。


「うん?君はどう見ても女の子じゃないか?だったら隣にいる真君は誰なんだ?」

「この子はカレン。私の彼女よ」

「彼女って真君は男の子だろう?君頭おかしくないか?」

「あわあわ、あの……遥ちゃん?マコ様は嘘はついてないんです」

「マコ様の体の私がカレンで、カレンの体の女の子がマコ様なんです。すみません。誤解させてしまったようで」


「頭が追いつかないんだけど、纏めると君達は心と体が入れ替わっていると、そう言う事なのか?」


「他にも色々あるけれど、端的に言うとそうね」


「腑に落ちないけど、もしそうだとしても、金髪でロリ巨乳の美少女が真君だとしても、口調、話し方が女の子そのものじゃないか?」


「色々あったのよ。聞きたい?私の異世界冒険譚」

「え?異世界?いやまさか、異世界なんて小説じゃあるまいし」

「信じられないかもしれないけど?2年の間、異世界中逃げ回っていたわ」


 まぁ、契約が切れれば異世界に戻る運命なのだけど、それは言わなくてもいいわね。


「それが本当だったと仮定しても、君は異世界人って事になるのか?」

「そうですね、私は向こうでは公爵令嬢でした」

「まだ信用できないのかしら?私は委員長の事なら何でも知っているわよ」


「終業式の日、図書室に呼ばれて委員長に告白された事。待って欲しいってキープした事。気が変わったら名前で呼ぶ事。胸元のセクシーな黒子。クリスマスにショートケーキを買おうとしてチョコレートを入れられて気付かずに泣いた事……」


「わぁわぁぁぁぁ!ちょっと!桜川君!恥ずかしいからそれ以上、言わないでぇぇぇ!!!」


「まだまだあるけど?もういいかしら?」


「……っああ、本当に!?本当に君が桜川君なのか!?」


「……本当に、私が桜川真なのよ」


「えぇえええ!?……そんな、え!?嘘でしょ!?そんな、酷いよ?ボクの、僕の本気の告白だったんだよ?なんで、なんで女の子になってるんだよ……っ」


「委員長、いや遥。悪かったとは思ってるわ。それに告白の返事待たせてごめんなさい。償いになるか分からないけど、この体でもいいならお付き合いしても構わないと思ってるけ……ど?……そうだよね、嫌だよね?ごめんなさい」


「マコ様!?」


「そうね、それに今の私には一応カレンって言う婚約者がいるから、何言ってるんだろ私。ああっ……なんで?涙が……、止まらないわ……っ」


わたくし、今、マコ様にまた浮気されてます?」


「ふうっ……桜川君は相変わらず泣き虫な所は変わらないんだね。うん、僕の方こそこんな男みたいな女で良かったら付き合って下さい」


「完全に浮気確定ですぅぅぅぅ!しかも、わたくしの目の前でぇぇ!?」


 こうして、なんだかんだで美少女百合カップルが成立してしまったのだった。


「あ、定食食べて行くよね?」


「食べます!!お腹すきましたぁぁああ!!もう、やけ食いですよ!!!」


 それから3人で食事と買い物をして帰って来たら、もう7時を回ったところだったので、カレンと一緒に風呂に入り、精神的に疲れていたにもあったのでそのまま寝てしまった。


「マコ様、もう寝ましたですか?」

「どうしたの?カレン」

「妹の雫ちゃんとの件はわたくしも悪かったので仕方ありませんが、遥ちゃんと付き合うって本気ですか? 」

「安心して、委員長、遥とは憑依でカレンの体使ったりしないから、いいえそうね、もうカレンの体に憑依してエッチするのは止めましょう」

「当たり前です!マコ様は、わたくしの体を何だと思っているんですか?」

「ごめんなさい」

「浮気は許しませんよ?お仕置きですよ?」


 その後、カレンの「浮気ものー!!」攻撃でなかなか寝かせてくれなかったので今日も寝不足である。






あとがき


追記修正しました。


マコのカレンの体を使いません宣言が出ましたが、男の体に興味のないマコはカレンに自分愛しかありません。

カレン可哀そう。がんばれ!いや、委員長もがんばれ!と思われましたら☆星、♡で応援お願いします。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る