プロローグ2




side カレン・グランチェスカ  第三者視点



 肩まで垂らした金髪ブロンドに大きな丸い目、その碧色の目で微笑まれたら、一瞬で心を奪われるとも言われる美貌。小柄な体に似合わない大きな胸が魅力的なグランチェスカ公爵家の御令嬢。

 公爵家である事にも鼻にかけず、決して奢らない心優しく明るい性格。


 それがカレン・グランチェスカという名の少女であった。


 ただ、最近は婚約者が別の女に現を抜かしていて、浮気された現実に夢から覚めて、憂鬱な自分から抜け出せないでいた。


 元々婚約者の事は好きでは無かった。ただの政略結婚。

 本当は、カレンは心から愛した人と結婚するのが夢であったのだ。


「はぁ……ギルバートったら、急に王宮に呼び出すなんて……何かあったんですかね?あの平民女の自慢話はもう聞き飽きたんですけど」


 イブランド王国が誇る煌びやかな王城の裏には王家が住む王宮が存在する。

 

 その王宮の一室に案内される途中にそれは起こった。

 突如襲った激しい稲光、歩いていた廊下は一瞬にして光の渦に巻き込まれたのだ。



◇◇



 カレン・グランチェスカは、ギルバートに王宮に呼びだされ、長い廊下を歩いていたまでは覚えていた。

 多分気を失っていたのであろう、目を開けたら知らない小部屋にいた。


 とても狭い部屋だ。


 一応ベッドと机はあるようだが、自分がいつも寝ているような豪華な造りではない。


 多分、わたくしは誘拐、拉致されたのだ。

 カレンは、そう判断する。


 これでもカレン・グランチェスカは、公爵家の一人娘なのだし、身代金目当ての誘拐をされてもおかしくはないのだ。


 でも目的がお金じゃなかったら?もし、体目当ての犯行であったらと身震いし顔が青くなる。


 カレンは、ふと、狭い部屋に似合わぬ姿見を発見したので怪我などしていないかと、自分の状況を確認する事にした。 


「ふぇぇえええ!? あなたは誰!?ですか?」


 姿見に見えたのは年若い黒髪黒目の可愛らしい短髪の女の子の姿だった。

 ペタペタと顔を触り、それが自分の顔であると確認する。


「嘘、そんな事が、わたくしの顔が変わってる?……女の子?いや男の子?……凄い、美少年?」


 自分の姿が変わってしまった。どうしよう?という考えよりも、もしかしたら公爵家としての柵から解放されて自由が手に入るかもしれないという考えが頭をよぎった。


 自由、わたくしは自由になれる?


 そう考えるとカレンは、目の前の姿見に映った美少年の顔をまじまじと観察する。


「はうぅぅぅ……♡」


 姿見に映った少年の顔に赤みがさす。

 カレンは熱くなった両手の平で、少年の顔をやさしく包んだ。


 ――はぁぁぁ♡ とっても可愛いです♡


 髪型が少し長ければ女の子にも見えそうな少年の顔はカレンにとって、ストライクであり、一目惚れであった。


 着ている服は見たことも無い異国の服。

 肌触りも極上の見たことも触れたことも無い、もふもふの生地で作られた服。

 まさかその服が就寝用のパジャマだとは露程も知らないカレンである。


 もう自分の姿が変わっている事も、一目惚れ効果でどうでもよくなってきたカレンは、自分の着ている服のもふもふ感に浸っていた。


「えへへ~~もふもふです~♡」


 もふもふした生地を堪能していたカレンであったが、生地の下にある股間のふくらみに気付くのは当然の流れであった。


 一目惚れした少年の体である。


 それを堪能していたのであるから、性的に興奮するのも仕方ない事で、少年の少年はカレンの手に握られていたのだ。


「なななな……何ですか!?コレは?」


 大きいです。ハッ!これが俗に言う男の子というものでしょうか?

 公爵令嬢という箱入り娘であったカレンにとって男の子のそれは未知の世界。

 ましてや興奮した状態のそれは父親のですら見たことも無いのだ。


「別に見たい訳ではありませんが、興味なんて?無いですが、この場合は仕方ありませんよね?仕方なくですからね……」


 そう自分に言い聞かせて……カレンは、未知の感覚に興奮する。


「う……んんっ♡、はぁ、姿見を、はぁ、んちゅ♡ちゅちゅっ♡」


 姿見に映った少年と、熱いキスを交わしながら……。



◇◇



「はぁはぁ……あはぁ♡」


 遂に賢者に転職したカレンは、自慰の余韻に浸っていた。


 ふぅ……これも案外悪く無いですね。癖になっちゃいそうです。


 何か白いものが出ましたけど、あれがお母様が言っていた殿方の子種という物でしょうか。

 結構な勢いで飛んで姿見が汚れてしまったので近くにあった柔らかい布で拭いて綺麗にする。

 カレンは、ちょっと気になったので少し手に着いた白い物を舐めてみた。


「ちょっと、不思議な味がしますね」


 白い物を粗方ふき取った賢者カレンは、類稀なる頭脳を巡らせる。


 魔法は、使えないですね。

 とするとここは、賢者カレンのいた世界とは別の何かか、魔法を妨害されているのか。

 ともかく自分の現在の使える能力の確認無くして動くのは危険だと感じていた。


「ステータスオープン!」


 そう呟くとカレンの目の前に青白い透明なタブレットのようなものが表示される。


「良かったです、ステータスは開けるんですね」


 ステータス一覧には、見知らぬスキルが一つだけ確認出来た。


 これは、新たなスキルでしょうか?


「えっと、顕現イーラ?」


 カレンは、スキルの説明を読まずにスキルを発動してしまった。


 スキルの効果なのか、部屋が眩しいくらいの白色の光に包まれた。


「きゃ!!眩しい!!」


 その眩しさに慣れた頃、光は部屋の中心に収束し消えていった。


「ふぇぇ!?嘘!?」


 光の中から現れたのは、金髪碧眼の美少女ロリ巨乳。

 カレン自分の姿だった。


「な、ななな、何をしているの!!?」


あなたは!何をしているんですかぁ!?」


 顕現したカレンの体の人物は全裸で自慰中だったのだ。


 つい先ほどの自分の行いを棚に上げ、目の前の人物(カレンの体)の行いを咎めるカレンであった。





あとがき


プロローグ2を加筆修正しました。


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