一日目:旭川駅

 空港の券売機で乗車券を買い、旭川駅直通のバスに乗り込んだ。


 雪が既に何センチも積もっている。車窓は真っ暗だったが、やがて噂に名高い旭川医大を通り過ぎると、飲食店やらドラッグストアも増えてきた。旭川市街地に入ったようだった。


 バス停を降りると強風でホワイトアウトしている。雪が歩道で凍り付き、キャリーケースを引きずるのも一苦労だった。


 ホテルの入り口を見つけてチェックインした。


 部屋に荷物を置くと、遅い夕食を探すべく、再び雪の街に飛び出した。

 旭川駅コンコースには、新駅舎完成十周年の横断幕がかかっている。

 確かに駅舎は新しくて巨大だが、何だか閑散としている。人っ子一人いない。まだ九時過ぎだったが、地方だとこんなもんだろうか、或いは雪のためだろうか。


 駅ビルにレストラン街のようなものもなかったが、隣にイオンがあるのを発見した。

 四階にレストラン街があったが、どうも十時閉店で、九時にはオーダーストップしているらしい。

 一階にはフードコートがあったが、そちらも閉店していた。座席の間を通ると異臭がした。よく見ると、明らかにホームレスと思しき人々が暖を取っているようだった。

 冬の旭川でホームレス、だと?


 イルミネーションが輝く買い物通りに出てみると、居酒屋の看板を見つけた。地下に降りて、店員さんに一名だと告げると、予約客で満席だという。


 買い物通りで他の店を探そうかと思ったが、一見した感じ、手頃な店がありそうにない。駅前は巨大ホテルと病院が立ち並んでいる。御多分に漏れず旭川も、駅前が空洞化し、ロードサイドに移行しているのかもしれない。吹雪とアイスバーンで歩くのも困難な状況だった。


 仕方がないので、イオンで半額のお惣菜を買い漁って夕食とすることにした。元々観光が目的でもないのだ。部屋でテレビを観ながら食べた。


 明朝から予定が入っていたので、大浴場に行って、とっとと寝ることにした。

 しかし、どうにも寝つきが悪い。どこからか『ゴー』という音が聞こえる。

 翌朝になって、その理由がわかった。

 窓から外を覗くと、駅前のロータリーに巨大な雪の山が出来ていた。恐らく、夜を徹して除雪作業をしていたのであろう。

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