悪徳令嬢の許嫁

@enikki

第1話

どうも私です。

 ひょんなことから悪徳令嬢・・・ではなくその後ろのモブAに転生させられてしまいました、現世では結構活発な方で体育会系だったのですが、どうやら今度はマネージャーポジションについてみては?と薄い羽衣のなんちゃって女神に言われてそれはそれで面白そうだなと思い転生先がモブAになりました!

 今日からどんな辛いことをさせられるのか心配で朝しか起きれません!


 今日も清々しいほどに朝は朝してますね!


 そうだ名前! 


 「申し遅れました私モノハ・ブリッツと申します」


 現世での毎日の日課であるランニングを私が今住んでいる貴族ばかりが通う・・・名前は何でもいいんだけど魔法学院とでもしますか! の寮の周辺で行っていると向こうから1人の一般通過男子が声をかけてきて自己紹介をする羽目に。


 「私このアットー王国第一王子のアノン・アットーと申します、最近この国に戻って来たばかりですので、以後お見知り置きを。」


 「こ、これはこれは、申し訳ありませんそうとは存じ上げず」


 私は何となく跪く。


 「あ、すいませんそうかしこまらないでください」


 ん? 何だこの王子・・・やけに腰が低いぞ? 普通王子は王子然としてるのが物語の中での主流のはず! しかもこの人第一王子でしょ? この国大丈夫か? 自分の住む国のことなのでもうちょっと気にした方が良かったんだろうけど、二回目の人生なのだからか私は結構俯瞰的に見ていた。


 王子と別れ女子寮の中の朝食へ赴く、まぁ学校の中ではお化粧やら何やらしている連中も男いない女子寮の中じゃ、点3つに横棒みたいな顔をしている、今私は漫画の世界に転生したのだろうか?ここは3次元の世界であってますよね?女神様!


 ところ大事な人物を紹介しなければ行けないだろう私がモブなら主役が居なければならならいそう悪徳令嬢様だ!


 化粧をしてもこのみすぼらさ、こりゃお化粧代が持っていないってもんよ、まだ町娘の方がいい顔してるね、噂によると昔はもっと可憐で、チューリップの様に美しい方だったらしいのだが、今は花弁を失った薔薇つまりは棘だけ、ナスと表現した方がいいだろうか? ナスの棘って結構痛いんだよ? ナスにお似合いの丸く太った体とナスにお似合いの紫色のドレス、これじゃぁ私が人間に仕えてるのか、ナスに使えてるのか分からなくなってくる始末。


 そして極め付けに。


 「あらモノハさん挨拶がなくってよ?」


 「お、おはようございます、ナッシ様」


 あんたから挨拶してもいいんですことよ? おほほと言いたくなるほどの傲慢。まぁ私の方がどうやら身分が低いらしいのでいいんですけど!

 そういえばこのナス、今朝の第一王子と許婚だなんだとのたうち回っていた様な気がする、そうかそれであんなに腰が低かったのか、ナスにあったら腰が常時90度に曲がって常時地球に挨拶をしているかもしれない、これは見ものだ。


 と言うことで転校生の紹介が私達の属しているクラスで行われた許嫁のクラスによこすとは学校側も粋な計らいをするね、当の王子は苦虫を口一杯に噛み締めている顔をしている、いやナスの棘かも?


 そんなことを考えていると、男女混合の2つ1席の机に私、ナスの隣が空いている席の中でこの王子、私の隣に座りやがった!


 「今朝はどうもよろしくお願いしますねモノハさん」


 「あはは、こちらこそよろしくお願いします王子」


 刺さるぅ! 刺さってるぅ! 後ろの席にいるナスの棘もとい視線が私の頭めがけてダイレクトだよ! 出血多量で死んだらあんたのせいだかんな王子!


 「ごほん! アノン様? 私はこちらに居るのですが?」


 ギシギシとそりゃ古い傷んだ扉の様にアノンが後方にいるナスに首を向ける。


 「や、やぁ!」


 お前はどこぞの夢の国のネズミか! 声がひきつってもはや裏返ってるとか言うレベルじゃないぐらい高いぞ、将来は王とソプラノ歌手の二足の草鞋でやっていくつもりか?


 「私の席の隣も空いていますの」


 「そ、そうだったんだね! ひ、久しぶりに会ったので顔を忘れてしまっていたよ、いやぁ! 見違えたなぁ!?」


 分かる分かるぞ、見間違えたであって欲しいと心中で絶叫していることだろう、王子よ。こんなのと許嫁なんて、許嫁ってのは変えられたり断ったりできないもんなのかな? 知らんけど、まぁ家と家に多大な迷惑がかかるからあんまりそう言うのはしないほうが良さそうね、そんなことをすればナスが暴れかねない。


 そんなことで行動を共にすることになったんだけど、私が2人の邪魔になりますのでここは、と言うと王子がすごい形相で「い、一緒でも構わないよ?」とか言ってくるこりゃあれだ、2人だけの時にしか見せない凄い何かが、待っているに違いない、ナスも余りそこは気にしていない様で私を側に置いてくれていた、まぁ何かあった時のパシリ程度にしか思われてないんだろうけど。


 それからと言う物私は王子専属伝書鳩に成り果てた、毎回済まないねと手を挙げながら王子は私に申しつける、痛み入ります。まぁそう思うのなら早く離してくれるとありがたいんだけどと心の中で思いながら私はにっこり笑顔で大丈夫ですよと言う。


 「モノハさん最近王子と仲が宜しくって羨ましいですわ」


 「そんなことはございませんわナッシ様、王子は見るからに恥ずかしがり屋ではございませんか、お美しいナッシ様を見て照れているのでしょう」


 「そうでわね、一国の王子なのですからもっとこう、胸を張ってシャキッとしてほしいものですわ」


 それはあれか?王子に腰を一回転させろと言っているのか? こいつは鬼か! あのへっぴり越しが上に上がることなど、ナスの近くにいたら到底無理だろう、威圧的な態度、強制力のある選択問題。


 どうしてこうなったんだ! 私は知りたくなり、一人王子の元へと向かった。


 「もっと強くこう! ガツンと!」


 「昔はね? 昔は対等だったんだ」


 ああ、出た出た夫婦生活家での力の関係は? 旦那に聞くと対等とか言い始めるやつ、そう言う奴に限って奥さんの尻に敷かれてるよ、何をするにもHey Siri! だよこの人絶対。


 「じゃぁなぜ今はあの様になられてしまったのですか?」


 「まだ許嫁じゃなかった頃だ、僕たちはもう知り合っていてね、ナッシが家に遊びに来ていたんだ、その時たまたま他の貴族様が家に来ていてね、その子の娘さんとやらと一緒にまぁ言い換えれば今のうちに娘と俺を引き合わせておきたいみたいな感覚だろうね」


 3人で最初は遊んでいたのだそうだでも、彼女は余所者の介入を拒み挙げ句の果てには無視し始めたのだとか・・・その頃からというか、もう片鱗は最初からあって蛹から蝶へ進化しただけの話だろう。


 「そうだからね! 君に僕のそばにいて欲しいんだ! 彼女に気に入られている女性なら側にいても邪険にはされないだろう!? だからお願いだ! ずっと僕のそばにいてくれ! 僕には君が必要なんだ!」


 感極まって詰め寄り、手さえも握ってくる王子に私はタジタジで2人になることをこの世の終焉かの様に話王子に私は同情していた。


 きっとそんなんだから私は背後に近づく大きな気配に気付けないでいたのだろう。


 「王子!? モノハさん!?  貴方達はこんなところで一体何をしていらっしゃるのかしら? 手なんて繋いで!」


 終わった、モブAという人生を諦め、私はこれから虐められる役としてこの人生という舞台に立たせられるのであろうことを察した。

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