第24話

「ニュースでは、違うことが」


「ニュースがいつも正しいこと言うわけないじゃないの」


「」


「まあ、ニュースで言ってることのほうが正しい意見だし、そうあってほしいと私も思うわ。これは、元恋人の子にも言ってない。耐えられないと思ったからね」


「よいしょ」


「あくまで、わたしの仮説だけどね」


「あの子は、配線から火が出ていることを確認して、非常ボタンを押そうとした。そして、それを押すと、爆発が起こるのも、なんとなく分かっていた。じゃないと、この体勢で配線を見ながらボタンを押すようなことはしない」


「そして、爆発した」


「たぶん、自分ひとりだけが死ぬつもりだったんじゃないかしら。配線の火も小さなものだったし」


「でも、違った。重い空調が、煙をためていたの。だから、ボタンを押すことで空気とふれて、大きな爆発になった」


「結果として、その爆風に乗って、彼だけが助かった。逆の結果ね。死のうとした人間が助かって、その他大勢が死んだ」


「それをなんとなく把握したその子は、すぐに死のうとしたのね」


「頭の傷は後ろにあるけど、あれは平面に前から頭を打ち付けることで発生した傷よ」


「相当強く打ったのね。頭蓋骨そのものがずれて、頭の後ろのほうが大きく裂けた」


「でも、死ななかった。記憶には不具合が残った。そりゃあ、そんな勢いで頭を打ち付けたらそうなるわ。しかも、その前には多くの人間を間接的に死なせたという精神的ショックもある」


「これが、私が検証した全てよ」

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