第2話

「どう?」


「なにが」


「ララーニアちゃん。いい子でしょ」


 この探り合いが。これがいちばん、はらがたつ。でも、そんなことを言っても、しかたなかった。


「毎回俺の隣に振るのはやめてくれ」


 そのくせ、自分が取られるかもしれないと、こうやってすり寄ってくる。それにも、なんとなく、はらがたった。


「でも、いちばん連絡とれるし、わたしとも密でしょ?」


「それが」


 しっとされると、困る。

 口に出そうとして、やめた。

 初恋は、彼女だった。

 年上で。

 そして、普通にうまくいった。

 でも、結局、良いものではなかった。こうやって、新しいやつを振られて、その度にしっとされて、すり寄られる。

 終わりにしたかったけど、あの窓際を奪われれば、外の景色が見えなくなる。奪われるのは、窓際だけではないかもしれない。そういう事情も、そこそこあった。

 終わりの見えないトンネルの、その、ど真ん中にいるような気分だった。光は見えない。

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