閑話 姉の気持ちと過去
side沙良(姉)
妹を抱きしめ、頭を撫でながら私は今さっきのことを、今までのことを振り返った。
♢
私は今日、覚悟を決めて
それはおとぎ話やアニメなんかに出てくる
ひどいときはしっぽなんかが出てくることもある。
この特殊体質が発覚したのは小学4年生の頃、春香と公園で遊んでいた時に突然体の奥が熱く、燃えるような感覚が襲ってきた。その場で私は倒れ、意識が途絶えた。
目が覚めると病院にいた。いつも行っていた小児科ではなく大きな大学病院だった。
その時のことはよく覚えている。医者から背中から羽のようなものが生えていたと、写真とともに説明され、前例のない奇病として入院するべきと医者に言われた。
しかし私の母親が「この子の未来がそれで明るくなるとは思えません。定期通院はさせますが入院はさせることはできません」と医者を説得、というかほとんどゴリ押しで意見を通したのを覚えている。
父親もこの意見には賛成らしく「俺の娘は龍人だったか!ハッハッハッハ!」と龍人であることを悪く思っていなかった。当時の私も呑気に(私は龍人!かっこいい!)
くらいにしか思っていなかった。だからあんな悲劇が起きた。
♢
自分の特殊体質が発覚した次の日学校ではどうして休んでいたのかを聞かれ、入院していたこと、そしてその理由を話してしまったのだ。
「私の体はね!ドラゴンの羽が生えるの!」と自慢げに話し、その場で実際に見せたのだ。
それを見た友達はそのときは「すごーい!」と言ってくれた。
しかし時が経ち進級して小学5年生になると周りと違う私はいじめの対象にぴったりだったらしい。元々男勝りな性格でよくいろんなスポーツで活躍していた。それも相まってか「化け物」と呼ばれ始めた。それでも正直どうでもよかった。
私のことを大事に思ってくれる両親はもちろん。目に入れても痛くないほどかわいい妹、
♢
それでも私は春香から離れなければならなくなった。
それは中学生に上がり恋心を理解し始めた頃、私は妹に恋をしていることに気づいた。
そしてはるかと一緒にいると自分の理性を抑えられなくなりそうなことが増えてきた。抑えられなくなるたびに私は羽が生える、ツノが生える、しっぽが生える。
それをはるかに見られ、あの時のクラスメイトのように拒絶されたらと思うと怖くて自然と距離を置いてしまった。
少し距離を置き生活をしていると向こうも距離を置き始め自然と会話も減ってほとんど他人のような距離感だった。
でも、それでも私はこの恋を諦めたくない。
そう思いながら生活していくうちに4年の月日がたったある日わたしは、恥ずかしながら妹の風呂上がりの姿を見ただけで理性のブレーキは効かなくなってしまい、部屋で抑えようとしていた。そして龍人も状態だと五感が鋭くなるようで、視線に気づいて横目で見たら、はるかがこちらを見ているのに気づいた。
そしてこれを最後のチャンスにしようと思った。
明日の朝、はるかがもし私を拒絶したなら諦めようと思った。
しかしはるかは何もなかったこのように今まで通りの反応だった。
だからわたしは1日自分の気持ちを全力で抑えて、徹底的に近づいた。
それでもはるかは私を拒絶しなかった。
だから目の前で見せた。この
「かっこいい」
なんていってくれた。今まで距離をおいて、他人のようになってもなお
私のことを惚れせてくる。この子の一言で今までの、4年間の虚無感が和らいだのがわかった。
この子の言葉で私はなんだって頑張れる。はるかがかっこいいと言ってくれたその一言で救われた。
だから私は立派な姉として、一人の人間として、惚れさせると自分の心に誓い、私も眠りについた。
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後書き
長文お読みいただきありがとうございます!!
初めて別の視点を書いたので長くなった+不自然なところも多いかと思いますがご容赦ください。
ちなみに中学校ではいじめはなく剣道部として大活躍をした紗良でした。
はるかの名前表記で漢字とひらがなどちらが見やすいかコメントしてくれると助かります!
では次のお話で会いましょう!さらば!
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