第3話
なんの解決策もなく、さらに数日がたった。
相変わらず眠れない日々は続き、目の下の隈は日に日に酷くなっていった。
気を抜けば寝てしまいそうで、なんとか起きている状態だ。
会社のパソコンの文字を読もうとするが、目が霞んで見えづらい。
目をこすり、眉間にしわを寄せながら必死に読んでいく。
「先輩」
「秋山か」
声をかけて来たのは、俺が一番可愛がっている後輩の秋山だ。
手にはいくつかの書類を持っており、何か俺に質問をしに来たのだろう。
「わからないところでもあったのか、なんでも聞いていいぞ」
いい先輩でいるため、体調的には辛いがなんとか笑顔を作って話しかける。
そんな俺をみて秋山は、なぜか辛そうななんとも言えない表情をした。
「先輩、体調わるそうです。休暇をもらった方がいいんじゃないですか」
休暇?別に今は必要のないものだ。
休暇をもらって一体何をしろと言うんだ。
その間に同僚に先をこされるだろ。俺はいい先輩で、できる人間でいたいんだ。
上司の目もある。今は重大なプロジェクトに関われる大事な時期なんだ。
ここで休んでなんていられない。俺が休んだ後の穴埋めを誰がするんだ。
俺に、あの夢をみ続けろとお前は言うのか?
「ちゃんと寝れてないんじゃ……」
「うるさい!!」
ストレスが頂点に達し、部屋中に俺の大声が響き渡る。
部屋中がシンっと静まり返っていた。
すぐにハッと自分のしてしまったことに気づき、秋山をみた。
秋山は今までに聞いたことのない俺の大声に驚いたせいか、顔がこわばっていた。
やってしまった。
そう思って席を立ち
「秋山、すまない。ちょっと休憩室に行ってくるわ」
そう告げて早足で休憩室へと向かった。
誰かの夢の、そのまた夢で 森 椋鳥 @mu-ku
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