第32話 ルート
「よしと……これで寝取り男を撃退するチーム結成だな!」
お互いの連絡先を交換して、情報交換ができるようになった。
「なんですかそのチーム」
「寝取り男が更生するようにアタシが分からせてやらないと」
なんでこんな未那は楽しそうなのだろう。まぁポジティブなのはいいことだ。
と……落ち着いたら急に尿意が。
そういや、外が暑かったのと、ドリンクバーの元取るぞとかいって、がぶ飲みしたんだっけ?
「ちょっと俺トイレ」
辰も去ったし、また席を立った間に何かが起こるという事態はないだろう。
「何かあったら連絡してくれ! 絶対だぞ!! どんな些細なことでもいいからな!!」
「はいはい。トイレくらいゆっくりしなよ、お兄ちゃん。七香さんが付いてるから大丈夫だって〜」
と未那には言われたものの、駆け足でトイレに向かった。
「あの、未那ちゃん……」
「はい、なんですか七香さん。それとも……七香先輩の方がいいですか?」
「いや、七香さんで。先輩とは恥ずかしいんで……」
翔太郎が席を開けたことにより、2人っきりになる七香と未那。
お互いに遊園地で会ったものの、ちゃんと会話するのは初めてだ。
「じゃあ七香さんで。七香さんはお兄ちゃんとはどんな関係で?」
その質問に七香は思い浮かべる。
アイツと私の関係……
『ああ、そうだ——クソビッチ』
全てはあの言葉から始まった。
突然出てきて、勇臣先輩を奪おうとする私をウザいくらいに止める存在。寝取りを絶対許さないといった感じ。そんなアイツが邪魔で邪魔で仕方がなかった。
けど……
「……」
「七香さん?」
さすがの七香も寝取り寝取られを攻防する関係だとは言えず、
「関係……た、ただの同じ学校の人だよ。あと先輩」
「そうなんですか。……ただの先輩だったらあんなに一緒に居ないし、仲良さげじゃないと思うんだけどなぁ……」
「未那ちゃん何か言った?」
「なんでもないですよ」
「そ、そう……。じゃあ私からも。遊園地では恋人だと思ってだんだけど……妹なんだよね?」
「はい、妹です」
「そ、そう……」
じゃあ何故、遊園地の時は恋人のフリをしていたのか? と追求したかったがそれを聞けば後をつけたのがバレてしまう。
次なる質問へと移る。
「妹目線から見てアイ——じゃなくて翔太郎先輩は……どうなの?」
「はい、お兄ちゃんもとい翔太郎くんのことは兄としては異性としても良い印象ですよ」
兄はわかる。……"異性"として?
七香は引っかかった。
「その、異性……?」
「そうです。異性です」
「男性として良い印象ってこと?」
「そうですね。……兄妹なのにこう思うって変ですよね」
「え、あ……」
「ふふ、いいですよ。誰だって実の兄をそういう目で見てる人がいれば戸惑います。でも結局は、兄妹じゃなければいい」
未那は一拍あけて言う。
「実はアタシたちは———」
話す。
決して翔太郎には聞こえない、まだ教えてない事実を。
「え……」
聴き終わった後、七香からそんな声が漏れ出した。
——1週間後
どこかの廃棄工場。錆びれた塀があり、それについていた鍵とチェーンはそこら辺に投げ捨ててあり、中にはバイクが数台停まっている。
ここは人目に付かないし、噂では柄の悪い危ない奴らの溜まり場になっているとか。そんな誰も近寄らないであろう場所に瀬尾辰はいた。
工場の中はソファ、テレビ、食料などなど。割と設備が整っている。噂通り溜まり場になっているようだ。
椅子に座り、熱心に携帯を見る辰。そんな彼を不思議に思ったのか、男の1人が揶揄うように言う。
「おい辰。お前が珍しく女に手こずってるって聞いたぞっ!」
「え、ま? 寝取り百戦錬磨のあの辰が?」
「ついに絶倫チンポも出さず、初の敗北か!」
「マジかよ! ハッハッハッ!!」
この場にいる男たちはいわば辰と同じで人の恋人を寝取ることに快楽を得ている。
中でも辰は、大きさとテクが優れており、こいつには敵わねぇと皆言う。ターゲット横取りされた者もいる。そんな辰がたかが1人の女を堕とせないと、珍しいネタが発覚し大笑い。
ガンッ!!!!
「——黙れ」
そんな彼らに苛ついたようで、辰は近くにあったドラム缶を蹴飛ばした。男たちは笑うのを止め、辰の顔を伺う。
「大体、俺は負けてねぇし、まだ何も始めてねぇ」
「……いや、始めてないというか、始めさせてもらえないから負けって言ってんだ——」
「あん?」
「いや、なんでもないなんでもない!!」
「でも策はあんのかよ?」
そう聞かれ、辰は悪い笑みで言う。
「んなの決まってんだよ。もう待ってられねぇ。策もクソもあるかよ。どうしてもあの子が欲しいんだ。あの強気な美少女を屈服させ、アンアン泣かせぇ。だから—————強姦だよ」
どのルート選択しますか?
▶︎▷未那
▶︎▷七香
▶︎▷翔太郎
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