ルート▶︎▷未那

第33話 兄妹じゃなければいですよね? だって——①

(未那side)


  ———アタシは男が嫌いだ。


 アタシのことをエロい目で見るから。

 瞳に映るアタシに欲情したようなあの視線を受けるのが嫌だ。



 今はお兄ちゃんと実質、2人暮らしだ。

 父は出張が多く、滅多に家に帰らない。母親も最近は仕事が忙しく、1ヶ月に1回帰ってくる程度だから。


 "お兄ちゃん"……ねぇ……。

 今では言い慣れたものだ。

 

 アタシたちは血の繋がりなんてないのに。

 そう、

 アタシは母の連れ子で、翔太郎くんは義父の連れ子だから。


 アタシが1歳の頃、再婚により突然アタシと翔太郎くんは兄妹になったというわけである。


 その事実を——当時3歳だった翔太郎くんには告げてない。そして今も。


 いや、告げないでと頼んだと言った方が正しい。


 翔太郎くんはかけがえのない存在である。

 それは家族として、兄として――そして異性として。


 翔太郎くんや義父と血の繋がりがないことを不安に思っていた。


 しかし、異性として意識するようになってからは、血が繋がっていなくて良かったと思えるようになっていた。


 戸籍上は兄妹であったとしても、血の繋がりがなければ、結婚することができる。わざわざ調べて、民法で定められていることまで確認した。


 つまり法律的には、結婚する未来だってありえる。


 もちろんそれは、"できる"というだけであり、実際そんな未来になるとは限らない。


 アタシがいくら翔太郎くんを思っていても、彼からしてみればただの妹としか思っていない。

 

 だから———血が繋がっていないのとを打ち明けられない。両親に自分から翔太郎くんへ言うと頼み込んだ。


 だって……この感情を翔太郎くんに押しつけて拒絶されてしまったらアタシは……翔太郎くんの前に居られない。


 ただ好きな相手に振られるのとは訳が違う。


 そんなリスクを選ぶくらいならば、この気持ちはしまっておこう。


 そう思ってこれまで過ごしていた。

 




※一部修正しました

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