第21話 キンタマもげろやクソ野郎!!

(七香side)


 ……最悪。最悪だ。


「お前もここにきてたんだな、七香」


 目の前に立つ男は、3人の女の子をはべらせてニヤついた笑みで私を見る。周りにいる女はどうせ、誰かの彼女だった人。それを我が物顔で見せびらかす姿にいつしか怒りなど感じなくなった。


 喉が渇いたから、自動販売機を探しに1人でウロウロしていた。そこで運悪くソイツに鉢合わせた。


「おいおい七香〜。お兄ちゃんに対してそんな怖い顔すんなよ〜」

「え、この子、ターくんの妹さんなの?」

「可愛い〜」

「そうだろそうだろ。自慢の妹〜」


 ヘラヘラしたこの態度もいつも通り。

 怒りよりもため息の方がでる私もいつも通り。

 

「てか、お兄ちゃんに秘密でここに来てるってことは七香ぁ〜、お前彼氏とでもきたのか?」


「……できてないし。うるさい。じゃあね」


 コイツと話していても不快だ。何故なら私は兄の事が嫌いだから。


 さっさと話を切り上げて、逆方向に足を向けた時だった。


「まぁそうだよなぁ〜。お前の好きな奴、彼女持ちだもんなぁ〜」


「っ!?」


 ……どうしてそれをッ


 慌てて振り返り、兄を見るとニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべていた。まるで全てを知っているかのように。


「まぁ所詮、お前は俺の妹だ。兄妹同士仲良くしようぜぇ〜。クックっ」


 肩を叩かれて横を通り過ぎる。


 私は焦りしかなかった。


 この男がもし、あの2人と接触したら……壊しかねない。







「……見つけた。アイツが瀬尾辰ヤリチン……」


 昼になり、施設内にあるファストフード店で好きなもの購入し、再び合流となった。

 昼時とあって、皆考えることは同じ。どの屋台も賑わっており、行列ができていた。


 そしてそこに、探していた人物も別の形で目立っていた。


「辰くん、あ〜ん♪」

「ん! うまっ。やっぱり美女に食べさせてもらう食べ物は美味いわ〜」

「ターくんこっちも」

「あーん、こっちも!」


 テーブルに男1女5とハーレムを作っている。そう、瀬尾辰主体の寝取りハーレム。周りの美女たちは元は別の誰かの彼女だった人だろう。


「おっ、おいお前! 俺の彼女に何してる!!」


 そこにマッシュ型の男が登場。言動から5人の美女の中の彼氏だ。


「あ? 誰お前? 誰か知ってる?」


 4人は知らないと首を振ったが、1人が気まずそうに顔を下に向けた。辰はその事にすぐ気づき、ニヤリと頬を緩める。


「この子、アンタの彼女?」


「そ、そうだ! 俺の彼女だ! おい麻美! なんでこんな男と一緒にいるんだよ! これは浮気だぞ!!」


「そ、それは……」


 男は正しいことを言っている。なのに肝心の辰は大笑い。


「な、何笑ってんだよ……このクソ野郎!」


「あー悪い悪い。アンタがあまりにも面白いことを言うからぁさ。んで……浮気? 笑わせるな。お前が悪いんだろ? 最近、仕事が忙しくてロクに彼女とセックスしてないらしいじゃん」


「そ、それは仕方ないだろ! 大体、麻美は俺のおかげで生活できてるんだ! 対して彼女は家事してるだけ……。最近やたらと家にいる時間が少ないから、今日、後をつけてみれば、案の定、若い男と浮気していただと!? ふざけるな!」


「あーでた。俺のおかげだからとかいう亭主関白。あんたさ、知らないかもだけど家事も意外と大変なんだよ? あとご近所付き合いとか。それにこの子、アンタに秘密で株してて、アンタの収入、よゆーで上回って稼いでるけど? この子はなぁ、こんなに魅力的で柔らかいおっぱいと尻、それに一見大人しそうなこの口も、チンポを差し出せば超エロい顔で舐めてくれる極上の美女なんだぜ? アンタなんかの傍に置いてると腐るから、俺が貰ったんだよ。おら、お前の口からも言えよ」


 その美女の肩に手を回す辰。彼女は荒い息を整え言う。


「私、この人の彼女になる♡」

  

 彼女の言動にマッシュ男は膝から崩れ落ちた。


「ハッハッハッ、所詮、男は顔とテクとチンコのデカさなんだよ。悔やむなら自分を恨めよ? 元カレさん♪」



 一部始終を遠くから見ていた俺は、茫然とする。


 女の子を庇うような言動。こんなに自分の事をよく言ってもらえれば、そりゃいい印象した抱かないよな。それにテクが合わせればどんな美女人の彼女も落ちると言うわけか……。


 無駄にハイスペック……なにコイツ超むかつくんですけどぉぉぉぉぉぉ!!

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