第19話 今回ばかりは寝取り役ヒロインが必須
「やっぱそうは簡単に見つからないよな」
プール施設に入り、男子それぞれの更衣室に入った。俺は男、全裸になって海パンを履く作業のみでいいので七香より先に着替えて、アイツが来るのを待っていた。
その間、周りを見渡し、七香の兄で今日の主役ともいえる寝取り役、
だが、今日は休日とあって人が多い。家族連れやカップル、学生で賑わうこの中から眺めただけでは辰を見つけられないだろう。
瀬尾辰は、サングラスに金髪といかにもチャラいという印象を与える外見をしている。中身はチャラいという軽い言葉では済まない。
自分が惚れた女ならたとえ相手に彼氏が居ようが、身体で屈服させ堕とすヤリチン。学校1の美少女、どこぞのお嬢様と、ゲーム内では広い交友関係を持っていた。
ほんと、顔とテクで女をひたすら犯して人生生きてるって感じの奴。
ゲームのストーリー上、そんな兄と一つ屋根の下で住む七香は、次第に恋人を寝取ることになんの悪意も感じなくなり、初めて好きな人(勇臣)が出来たことにより、自分も兄と同じ寝取りの道に足を踏み入れようとしている——ってのが、裏設定だ。
まぁ同じ空間に毎晩人様の彼女を犯している奴がいたら、そりゃ精神がおかしくなるわな。
「待たせたわね」
後ろから声を掛けられたので、振り向くと当たり前だが、水着姿の七香がいた。
「はいこれ持って」
渡してきたのは伸縮式のパラソル。
「こんなの持ってきてたのか」
「当然でしょ。焼けちゃうじゃん」
「ま、白寝取りが黒寝取りになっちまうもんな」
「は? 意味わかんない」
真顔で言われた。
ちなみに俺もノリで言っただけ。
仕方なくパラソルを持ち、当たり前だよね、という態度の七香をあらためて見る。
着用している白いビキニは、胸元と背中、及びビキニパンツの両端が紐結びになっていて、わりとシンプルなもの。
比較的、清楚な水着のはずなのに、無駄に肉付きの良い七香が着たせいで、胸や尻がムチムチとはみ出てしまっている。
腰にパーカーを巻いているのでそる着ろやとツッコミたい。
「はぁ、暑い暑い……」
「うぉい、あの子めっちゃ可愛い」
「つか、身体エロすぎだろ、おい」
七香は、男たちがエロい視線を送っていることなど、慣れているかのように気にもしなかった。それどころか、横や下からこぼれたおっぱいをしきりに水着の中へ手で戻し、また尻の食い込みを指で直していた。
いや、だからパーカー着れば全部解決だっつーの。
「なにジロジロ見てんの。きもっ」
「別に、張り切って勇臣を誘惑する水着着たけどサイズ合ってなくて可哀想だなーって思っていただけだ」
「はい? 元々こういう作戦ですけど? それとこの紐はダミーだから」
「あ? だからなんだ?」
「だから、引っぱっても解けないから。水着。残念だったわね」
「誰が引っぱるか。とっとと行くぞ」
無駄口を叩き合い、俺たちは階段を降りた。
パラレルを立て、場所を確保したところで、勇臣と遙と合流する。
「おい翔太郎、どういうことだ」
「そのまんまの意味だ」
翔太郎に肩を掴まれ、めっちゃご立腹な様子で問い詰められる。まぁ彼女がいるのに誘惑してくる後輩がいればそりゃそうなるか。
「一緒に行く人は誰でも言ったが、何故七香なんだ」
「先輩ひどーい。まるで私が一緒に行っちゃダメみたいな言い方じゃないですかぁ〜」
「それはその……七香は俺によくくっついてくるから……」
「わぁ、先輩ったら私の水着チラチラ見て、そんな顔を赤くして言われても説得力ないですよーっ」
相変わらずの小悪魔だな。
隣の遙も苦笑。だが、以前より余裕が見られる。
正ヒロイン、それでいいぞ!
納得いかなそうな勇臣。そんな彼にだけ聞こえるように囁く。
「今回は七香が必要なんだ。遙とのことなら、この翔太郎様に任せておけって」
「ま、まぁ翔太郎がそういうなら……」
渋々了解してくれたようだ。
そう。今回は特に——
「ん? 翔太郎くん私の顔に何かついてる?」
「いや、なんでもないよ遙さん」
七香が重要な鍵なのだ。そして朝月遙をあの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます