第13話 妹の彼氏になりきれ!!②
※遊園地に変更しました。
電車を乗り継ぎ、目的の遊園地に着く。スタッフにチケットを見せて早速、入場。
「それじゃあダブルデート、楽しみましょう!」
発起人である栞ちゃんが元気良く言う。隣の集くんは相変わらず口数が少なくクール。逆にこれが出来る男なのか……?
未那がツンツンと横腹を突いてきた。小声で話す。
「今、変な事考えてたでしょ?」
「俺も口数を減らせばいい男になれるのではと……」
「やっぱりバカなこと考えてた」
「バカとは酷い! 俺は未那に見合うようになー」
「未那ちゃんと彼氏さん、コソコソ話なんてっ。仲がいいんですね〜」
「え、そそそんなんじゃ……!」
何やら勘違いした栞ちゃんが羨ましそうに俺たちを見ている。
未那が赤面して首を振って否定している姿も穏やかな表情で見ているし……この子、出来る予感ッ!!
軽くお互いの自己紹介を終えた後、時間もあるのでアトラクションへ。
女子組が各アトラクションのファストパス取ってくれていたおかげで、スムーズにジェットコースターなどの絶叫アトラクションをはしごできた。
次はメリーゴーランド。
体験して楽しむタイプと楽しんでいる人を眺めているだけでも楽しいものがある。今は昼間とあり、小学校低学年までの子供たちが楽しんでいるのを親たちが見て楽しんでいる。
「隼くん〜!」
「おにっ……翔太郎……くん」
「2人とも楽しんでるな〜」
「……」
無口な隼くんの分まで手を振っておく。
俺たちはというと、少しアトラクションで疲れたのでメリーゴーランドの脇のベンチに腰を下ろしていた。
メリーゴーランドは音楽を鳴らしながらゆっくりと回転。俺たちはそれを眺める。
「あの、翔太郎さん」
「ん? どした」
「ちょっと相談いいですか……?」
遊園地に来てからずっとクールで無口な彼が俺に相談とは珍しい。
「俺にできることなら」
「あ、ありがとうございます。俺、こういう性格でいわゆる塩対応って言うんですか、彼女に素直に感情を伝えらなくて……」
「ほう……」
どうやら集くんはクールキャラではなく、想いを中々伝えられない奥手男子なだけだったようだ。いや、ギャップ萌え。イケメンはなんでも許されるよな。
「うーん……集くんは彼女さんに一番何を伝えたいの?」
「そりゃ……好き……とか」
頬をかき、恥ずかしながら小声で言う姿もイケメンだな、こんにゃろう!!
「声が小さい! もう一回」
「ええっ!? その、好きと……」
「もう一回!」
「好きと言いたいです!」
3回目でハッキリ聞き取れる声になった。
「集くんは彼女さんが好きなんだな」
「あ、当たり前じゃないですか……。告白したのも俺からですし……」
「そうか。なぁ集くん。好きっていう2文字は恥ずかしがっても言わないといけないんだぜ? だって好きなんだろ。彼女に好きって言って、自分がちゃんと好きな事を再確認しないと。そうすれば自然と行動に移るよ。それに好きっていうほど恋人ってのはもっと輝いて見えるだぜ」
一丁前にウィンクしてみる。
「なるほど……確かに。俺、頑張ってみます!!」
「おう、頑張れ!!」
やる気に火を付けれたようで良かった。
それにしても好き……かぁ。
時と場合によれば、その2文字で簡単に人間関係が変化してしまうこともある。恋愛って面倒だよな……。
お腹が空いてきたので、フードコートで自分たちの好きな物を買うことになり、一旦、別行動することになった。
「ふぅ、ちょっと疲れたかも……」
「そりゃあんなぶっとうしで乗り続ければ」
「だってせっかくの遊園地だよ? 乗らなきゃ損でしょ? まぁ午後はゆっくりめのところに行きたいと思っているけど」
俺も疲れたよ。
未那ときゃっきゃっうふふ、ラブラブすると思いきや、本人はアトラクションに休みなくなるし……変な期待をして損をした。
「翔太郎くん、何食べる?」
しかも名前呼びも慣れたようだし。
「めっちゃ腹減ったから……あのハンバーガー屋とか」
「そ。じゃあアタシもそれにする」
「いいのか? 未那ならパンケーキが食べたいと思ったのだが」
「せ、せっかくのデートなんだし、一緒のもの、食べたいじゃん……」
「……」
この不意打ちの素直さはダメですよ、ツンデレ妹さん!!!
「あ、いたいた〜!」
ハンバーガーを購入して、他にも何かという時、栞ちゃんが駆け足で近づいていた。
「はぁ、はぁ……今日の目的を伝えるのを忘れていました!」
「目的?」
「はい。実は、今日のダブルデートの目的は別にありまして。それは……」
「それは?」
「……?」
「デート中にキスする事です」
「「は?」」
思わず未那と声がハモる。
爆弾発言に一瞬、意識を持っていかれたが、なんとか正気を保った。
あ、やっぱ無理。同様を隠しきれない。
い、妹とキスですとぉぉぉ!?!?
「……ふーん、いい事聞いたなぁ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます