湿地帯③
戦闘が終わった湿地帯から魔物の武具等の回収し始めようと、湿地帯を歩き始める。
その直後…
ズン…ズン…
湿地帯周辺で大きな地響きを感じる。
皆が周辺を見渡すと見張り台があった、その奥から身の丈の大きい爬虫類型の魔物の姿が現れた。
グロロ…
大きな唸り声を上げながら人の身の丈よりも数倍大きい魔物が彼等を睨みつける。
魔物は大きな棍棒を手にしていて、それを大きく振り下ろした。
ズバンッ!
棍棒は湿地帯の水飛沫を大きく跳ね上げて、周囲に飛び散る。規格外の魔物に周囲は一時混乱した。
「クソ、まさか主が現れるとは…!」
「まあ、それだけ彼女の戦闘が激しかったんだよ」
カルファがフォルサに向かって言う。
一同は、魔物から逃げ出した。この時、ティオロは自慢の逃げ足で、一番遠くまで走っていた。
リーミアは魔物を見て、フォルサ、カルファ、アメリに向かって話す。
「おいおい、正気か?いくら何でも嬢ちゃん…それはチョット…」
「お願い、やらせて…」
「勝てる自信はあるのか?」
カルファがリーミアに尋ねると、彼女は黙って頷く。
「全く、こんな化け物を、相手にすることになるとは…」
「仕方ない、やってみろ!だがな…負けは許されないぞ」
「分かったわ。ありがとう」
リーミアはフォルサに礼を言うと、短剣を抜き出して、湿地帯に残っている魔物達を切りに向かう。
「さあて…魔物ちゃん、俺達が相手だよ」
カルファが槍を構え、フォルサが斧を強く握る。
「ねえ…大丈夫なの?」
アメリが少し心配な声で言う。
「やって見なきゃわからない!」
と、言っている間にも、魔物は棍棒を振り下ろす。
ドバァ!
激しい猛攻に勢いに周囲は混乱する。
「こんな攻撃、かわすの無理だよ、逃げよう!」
ティオロが戻って来て、慌てた口調で言う。
「お前さんの彼女を信じろ、アイツが必ず倒してくれる!」
「だけど、リーミアは1人で逃げちゃったじゃない⁈」
「いや、彼女は逃げたんじゃない。お前…彼女の作戦聞いて無かったのかよ?」
「え…作戦って何?」
彼だけ、離れた位置にいたせいで、リーミアの作戦の内容を聞いて無かった。
「あとで話す!」
と、フォルサが言う。彼等は、桁違いの強さの魔物に、何とか応戦しようと頑張る。
少しでも当たれば、深手を負いそうな攻撃に、アメリは回復魔法を行うが、流石に相手の攻撃が強いせいで、疲労が見え始めて来た。
「こんな相手、私達だけでは無理よ」
流石に息切れし始めて、アメリはよろける。
「まだ、嬢ちゃんは戻って来ないのか?」
カルファが流石に無理だと諦め掛ける。
その時だった。
ピュンッ!
魔物の顔近くに矢が飛んで来た。魔物は後方から矢が飛んで来たのを見付けると、後ろを売り返り、木の枝に立っているリーミアを睨み付ける。
一同はやっと戻って来たと安堵した。
リーミアは短剣を抜き出す。鞘から抜き出た剣は、長剣の形をしていて、刃は眩い光に包まれて輝いてた。
「剣が光っている…」
「あんな効果もあるの?」
始めて見る魔法剣の意外な効果に、周囲は驚きに包まれる。
グオオーッ!
魔物は雄叫びを上げながら、リーミア目掛けて突進して来た。
相手の魔物に怯む事無く、彼女は木の枝から飛び出して、大きく剣を振り下ろした。
「ヤアアー!」
シュッ!
一閃。風切り音と共に、リーミアが沼地に降りると同時に、魔物は身動きを止めて沼に身体を沈めて二度と動かなくなった。
「ふう…」
流石のリーミアも、少し疲れた様子を見せた。
「全く、本当に倒してしまうとは…」
フォルサが呆れた口調で言う。
巨大な魔物を倒し、湿地帯に魔物の姿がほとんど無くなり、彼等は落ち着いた感じで集まる。
「お前さん、今回も功労者だな」
「そうですか?」
リーミアは少し照れながら言う。
彼等が集まって話している時…
ゾクッとリーミアは、不気味な殺気を感じた。
「皆、危ない。避けて!」
そう言った瞬間だった。
ザンッ!
激しい斬撃が空を走った。空を切り裂く斬撃は、巨体な魔物の亡骸を真っ二つに切り裂く。
「何だ?」
フォルサが顔を上げると、裂かれた巨体な魔物の胴の上に、不気味な漆黒の鎧に身を包んだ剣士の姿があった。
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