冒険者ギルド①
ー 冒険者ギルド
街の中心部の広場の近くに位置する大きな建物…。早朝から夜遅くまで人の出入りが絶えない場所…冒険者ギルド。
マネニーゼ市場周辺は中立地帯でもある為、何処の冒険者ギルドも様々な種族や民族達が訪れていた。複数ある冒険者ギルドでも最初に出来た場所でもある「ラトム・ギルド集会所」は、冒険者の登録が多く代理王になった者も居ると言う事で人気の場所だった。
その日、受付に見慣れ無い少女が現れた。
「すみません…冒険者ギルドに登録したいのですが…」
受付の女性の前に現れたのは、まだ10代を過ぎたばかりの少女だった。受付の女性も返答に少し戸惑った。
「はい…分かりました。では、こちらにサインをお願いします」
「分かりました」
少女は、渡された紙に名前を書く。名前を書くと女性は、改めて少女を見る。
「リーミアさんですね」
「はい」
「冒険者ギルドに着いては、どの位知っていますか?」
「全く知りません…」
それを聞いた女性が少し呆れた様子で溜息を吐く。
「一応…説明としまして、冒険者ギルドは基本…魔物狩りをして、それに応じた報酬や称号を与えるのが決まりです。こちらの集会所では、冒険の仲間になる人達の集まる場所で、巨大な魔物には数名の仲間達で退治する事もあります。冒険者の中には単独で狩りをする者…ペアで狩りをする者達等…様々ですが、仲間達で狩りをするのが…基本報酬が高いのです」
「報酬や称号は、どの様に得られるのですか?」
「退治した魔物の数や身に着けて居た物等で決まります。若しくは…魔物の野営地にあった旗や、モニュメント等でも構いません…。魔物を退治した物をこちらで検査して、総合的に得点を用意します。ちなみに称号は…若葉色、紺、青、灰色、白、水晶、銅、銀、白銀、金、赤金、白金、虹色、光石…と全部で14等級あり、上位は金~で、上位に行くと奨励金も増え神殿からの依頼が受けられ、更に王位継承権を得られる事もあります。各階級上げの条件は…主に総合評価です。討伐した数と、どんな戦闘したか…をまとめた上で、ギルドの運営委員が鑑定して決めます。基本的な評価は小鬼15匹で換算されます。1階級ごとに×2の割合で増えていきます。尚…水晶以上からは魔獣を討伐に参加した功績とかが条件として入って来ます」
「ちょっと複雑な仕組みですね…」
「市場に点在してる全てのギルド集会所は、全てこの構成に基づいてます。ついでに申し上げると…ギルド集会所で得られる称号は金までとなっています。赤金からは神殿からの称号になります。主に国家規模の戦に参加した者や、魔物との攻城戦に参加した場合に称号が得られます。最高位は光石で、過去100年の間にその称号を持っていたのはリムア姫だけでした…彼女しか扱えない魔術があり、未だその魔術を姫以外の者で扱える人物は出現していません。特に…城に保存してある生前姫が所有していた魔法の杖、その魔法の杖すら使いこなせる人物はいない程です」
「そうなんですか…ところで王位継承権を得られれば、王になれのですね」
「それは…ちょっと違います」
「え…?」
「あくまで継承権であって、上位に入った場合、その年に行われる王位継承者達による競技会があり、それに勝ち残ら無ければならないのです。毎年数十名もの参加者がいます。それに最後まで勝ち残った者が大神官アルメトロス様から、その年の王位を授けて貰える事が出来るのです」
それを聞いたリーミアは、道は険しい…と感じた。
「では…今から魔物狩りに行けば良いですね」
「待ってください」
受付の女性がリーミアを呼び止める。
「これを、身に着けてください」
女性が用意したのは緑色の葉の形をしたペンダントを吊るしたネックレスだった。
「それは新人の意味をしています。もし…ギルドに入っても、それがあれば皆も貴女を新人として見てくれますよ」
「そうですか…」
リーミアは、ネックレスを首に掛けて言う。
「それと、魔法の袋です。魔物を倒し終わった時に集めて持って来て頂ければ、こちらで報告内容と鑑定を行い、それに見合った奨励金などをご用意致します」
女性は袋を手渡した。受付との女性との話をしていると、集会所に3人程の人達が入って来た。
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