占星術師③

 「100年前…エルテンシア国は突然現れた魔獣達の群れに襲われたのだよ…、国が絶対絶命の危機に瀕した時、その時王女だったリムア姫が、神秘の聖魔剣を持って我が身を犠牲にして国を救った…と言われている。100年も前の話で、私すらまだ生まれていなかった頃で、今となっては伝説の話になってしまっている。ただ…国は現在も正当な王位を持っておらず、現在は代理…と言う意味での王が玉座におる。王位継承権が得られるのは…エルテンシア国にある神殿の大神官アルメトロスが認めた者のみなのでな…」


 それを聞いたリーミアが、老婆を見て言う。


 「では…この短剣を持って神殿に行けば王位継承権を得られるのですか?」


 「それは難しいとも言える…」


 「何故ですか?」


 「王位継承権を得ようとする者は、毎年何人とも現れる。お前さんの様な珍しい剣を持つ者が大勢いるのも事実だ…その中で正しい王位を見極めるのは、至難の業とも言える。その為、神殿は試練を勝ち抜いた者を王位継承者として認める事にしている」


 「直接大神官に会う事は出来無いのですか?」


 「直接会えるのであれば、既に他の者が王になっておるよ…。御主の話を聞く限り、お前さんがリムア姫の生まれ変わりである可能性は強いが…実はな、御主が来る数日前にも1人、同じ境遇の者が居たのだよ…」


 「え…どう言う事ですか?」


 「その者には、両親と暮らして居たのだが…その者、ある日森へ遊びに行った時に、不思議な剣を見つけたのだ。それは選ばれた者にしか使えない、不思議な剣で私の処へと持って来て、調べて見たが…その者にしか使え無い不思議な剣だった」


 「その方は、どうしたのですか?」


 「その者は…自分が王位継承権があると信じて、神殿の大神官に会う為に、現在は街にある冒険者ギルドに通っているのだよ」


 「冒険者ギルド…?」


 リーミアは、聞き慣れない言葉に首を傾げる。


 「冒険者ギルドとは…この街に幾つかあり、一般的に小鬼や魔物退治の為の傭兵待機場の様なものだよ…。その場所に行き、得点を稼いで上位の称号を獲れば、自然と大神官アルメトロスとも会う事が可能となる。ちなみに…現在の代理の王も、冒険者ギルド出身者であるのだよ…」


 それを聞いたリーミアは納得した様子で頷く。


 「つまり…冒険者ギルドに通う事が、1番王位継承の近道なのですね…」


 「まあ…そう言う事である」


 「分かりました。ちなみに…この辺で1番近くの冒険者ギルドは何処ですか?」


 それを聞いた老婆は、街にある冒険者ギルドを教える。

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