第2話一番不必要な役職

僕が一番最初に受け持った仕事が、アルミインゴットの数えだった。バンドが切れてクチャクチャな状態であった。

その時のリーダーが川口主任だった。

僕は主任の肩書きに、ため息を付いた。同じ課に主任が5人もいるのだ。

会社で一番不必要な役職は主任だと思う。ま、主任じゃなくても、仕事のリーダーは勤まるんだから。


朝から夜までインゴットを数えて、15バンドル足りなかったが、岡で数えたらちょうどであったらしい。

入社したての僕ともう1人のヤツはぼろ雑巾の様に使われ、もう1人は胃潰瘍が出来て、課を変えた。

1人だけ残った僕は散々、パワハラにあい、いじめに耐えて、5年も修行すると知らないうちにリーダーとして仕事をしていた。


たまに、船の食堂でビールを飲んでいた。仕事が終わり、サイン待ちの時だ。

青島ビールを2本飲んで、新人に車を運転させて、事務所でちょっと書類整理してたら、同僚が、

「羽弦君!もしかして、やらかした?」

「何の事?」

「酒臭いよ!」

「もう、帰るから大丈夫。そっちは?」

「こっちも済むよ!一杯行こうか?」

「よし、いつもの焼き鳥屋で飲みますか」

僕らは時計を見ると18時。朝の7時から働いているのだから、ちょっと水増しで残業代を請求した。朝は8時半から作業が始まるが、準備は7時から始める。朝の準備時間は仕事として、カウントされないからだ。


次回は居酒屋編。

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