第3話焼き鳥屋

うちの会社から歩いて15分の場所に焼き鳥屋がある。夕方4時開店でスグに満席になるので、予約の電話を入れておく。

1本80円で色んな串焼きをする。

僕より1コ上で入社が僕より半年早い、H君とよく飲む。

仕事や上司の不満をつまみに、ビール飲むのは、労働者の有るべき姿。

僕は事務員のお局様が大嫌いだった。

彼女は後に業務上横領がバレた。だが、会社を辞めなかった。


「ねぇ~、H君。僕はみんなの大分先に出勤して、仕事の段取りしてんだけど、僕ばっかりっての理不尽だよ!しかも、夜勤もあるのに!」

H君はビールをゴクリと飲み、

「な~、オレ、羽弦君見てるとかわいそうに見える。僕は査定なんか要らないよ。羽弦君に付けてもらいたいよ!僕は夜勤出来ないからさ~」

そう、H君は夜勤はしない宣言し、僕に夜勤が回ってくるのだ。

僕は、「48時間男」、「猛獣遣い」、「羽弦再生工場」と、呼ばれ夜勤で失敗したことはない。


H君は初の夜勤でやらかした。難しい仕事なのだが、現場監督だったから、末端の仕事をチェックしてなかったのだ。僕が担当した時は、はしけに移すパルプ全てに、仁川インチョンと書いて、荷役会社に指示していた。

だが、がっかり長(係長)は僕にこう言う。

「お前だったら、めちゃくちゃだっただろうな?」

僕は無視した。この仕事は既に僕の中で印象的な仕事で覚えている。ミスもなかった。


この事をH君に話しながらビールを飲んだ。

そして、彼は言う。

「オレは羽弦君を尊敬するよ!次は鉄板焼き屋へ行こうよ!」

「いいよ!明日は僕は休みだから」

「オレも」


2人は河岸を代えて飲み始めた。25歳くらいの事だっただろうか?

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