第3話 主人公の金銭感覚2
異世界転移の基本チートと言えば、「鑑定」「アイテムボックス」「言語理解」の3点セットである。
この3点は、いずれも1つでも地球の現代日本で使えるならば、主人公に巨万の富をもたらすだろう。
だが、主人公はそんなものには目をくれない。なぜだろうか?たぶんではあるが、日本人的にお金の話=卑しいみたいな風潮があるからではないだろうか。
また、基本チート3点セットの他に、物語のテーマとなるユニークなチートを得て冒険が始まる為に、基本チート3点セットはさらりと流されてしまう。初期の住居不定・無職・一文無し、または少額の資金な状況で、なりふり構っていられないと言うのにだ。
確かに、物語が始まり街に着いた途端、金金金金言い始める主人公はカッコいいだろうか?カッコ良くはないだろう。だが、泥臭く銅貨1枚でもより多く初期資金を用意するのが、主人公がより安全に冒険者を始めるのに必要なのではないだろうか?地球の現代日本人としての教養がある主人公にしては、あまりにも危機意識のかける楽観的刹那的思考だ。
街に着いた主人公の多くは、少額の資金を得ているならまず宿を押さえるか、無一文なら冒険者ギルドに登録に行くかの2パターンである。
この「まず宿を押さえるパターン」に違和感を感じるのだ。街への道中狩った魔物や採取した薬草等が、冒険者ギルドでいくらで買い取りしてもらえるのかわかっていない状況で、「とりあえず○泊」と注文し「○泊だったら、銀貨○枚ね」と…。そこで、日本のビジネスホテルの値段と比較し、銀貨1枚当たり日本円○円くらいかと検証する。
なぜ最初に1泊いくらか確認しない?日本でもそんな値段を気にしないような買い物の仕方をしていたのだろうか?
宿を押さえたことにより、衣食住の内、『住』はなんとかなったかもしれないが、その他の衣食、冒険用の装備や道具類の用意、日曜雑貨等々、主人公に必要なものはまだまだ沢山あると言うのに、あまりにも無計画な資金の使い方に正直ドン引きだ。
まずは冒険者ギルドに行き、道中での成果物の売却で資金を得て、さらに低ランク冒険者の1日あたりの収入、ばれないようにチートを利用することでの収入見込み、装備等の初期費用等々を調べた上で計画的に資金は使わなければならないだろう。
無計画な資金利用は、死への一里塚だ。
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