　そうだ。羅美のことを考えてると改めて感じる。イジメ加害者や加害者を擁護する奴が当たり前のように口にする、

『イジメはイジメられる側にも問題がある』

　ってやつ。ああ、羅美をもしイジメるような奴が出てきたら、間違いなくそれを口にするだろうな。

『パパ活やってて』

『学校での態度も不真面目で』

『それでいて誰かとツルむわけでもなく』

『誰の子かも分からない子供を妊娠する』

　とか、イジメで憂さ晴らしがしてえ奴がそれこそ喜びそうなネタだよな？　『イジメはイジメられる側にも問題がある』だとか大声で口にできそうなネタだよな？

　けどな、その発想は根本的に間違ってんだよ。親の脛を齧ってる、社会に出たこともねえ、まともに働いたこともねえ、子供を育てたこともねえ、尻の青い小便臭いガキが何をしようってんだ？　そんなガキが羅美をイジメて、何が得られるってんだよ？　羅美をイジメてそれで何が変わるってんだ？　

　ええ？　

　言ってみろよ。てめえに何が分かるってんだ？

　ああ？

　てめえはそれで何がしてえんだよ？　言ってみな？　

『だって楽しいじゃん！』

　ってか？　くだらねえ。だからてめえはガキだっつんだよ。遊ぶことしか能のねえガキだってんだ。高校生にもなっててめえが社会を担う一員になることについて考えることもできねえガキが、一人前に語んじゃねえよ。

　てめえのやったことについて責任も負えねえガキにできることなんざねえんだよ。

　責任を負えねえなら余計なことをすんな。責任が負えねえうちは勉強だけしとけ。

　羅美はてめえの子供じゃねえんだよ。羅美に今後生きてくうえで必要なことを教えんのは俺の役目であって、てめえの出る幕はねえんだ。

　ひっこんでろ！！

　とまあ、結局はそういうことだよな。クラスで他の生徒が問題行動起こしてようがそれに対処すんのは大人の役目で、そういう事態にどう対処すりゃいいのか習ってもねえガキがするこっちゃねえんだ。教師や学校が頼りねえってんなら、それは教師や学校の問題だろうが。

　改めて言ってやる。

『イジメなんてのは、＜てめえがやらなきゃいけねえこと＞じゃねえんだよ！』

　羅美のことは、俺がやらなきゃいけねえ話であって、他所のガキが手出し口出しすることじゃねえんだ！　余計な真似すんな！

　ということだな。

　だいたいよ。教師とか親とか、大の大人が雁首揃えて、子供の問題行動の対処を他所の子供に丸投げしようってのは、あんまりにも情けなくないか？

　もし羅美がイジメる側だったら、俺は学校になんか行かせねえ。今すぐ退学させてやる。

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