第10話:守りたい
それから一年も経たないうちに、俺と彼の関係が校内に広まった。彼の周りから少しずつ友人が離れていったが、彼は俺から離れることはなかった。
「僕は、ゲイです。例え君と別れても、それは変わらない。なので……こんなことで君から離れることはありません。正直、ちょっとしんどいですけどね。だけど、君を失うよりはマシです」
そう言って笑う彼は、初めて出会った頃からは考えられないほど逞しかった。
「……強くなったな。幸人はん」
「だとしたら、君のおかげです」
「そうか」
「はい。……それで、ハルくん」
「ん?」
「……僕、ゲイであることを両親に話そうと思います」
「おっ。マジで?」
「はい。……多分、受け入れてもらえずに、家を追い出されると思います。なので……もし追い出されたら、ここに住んでも良いですか?」
「あははっ。幸人はん、ほんまに強かになったな。……うん。ええよ。追い出してもろうて、一緒に住もう」
「はい。追い出してもらってきます」
「追い出してもらってきますて。ふふ……」
「待っててくださいね」
「うん。……当日、迎えに行くわ」
交際が始まって一年が経った秋の日。彼はついに、恋人が男性であることを両親に打ち明けた。その日俺は、駅まで彼を迎えに行った。俯きながら歩いていた彼を見つけて声をかけると、彼は俺に駆け寄り、飛びつき、人目も憚らず俺の胸で泣いた。その日俺は誓った。この人を一生守ると。
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