2
彼女が10歳の頃、工業革命がおこって社会は大きく変わろうとしていた。それは彼女の住む農村においても例外ではなかった。巨大なトラクターに自動皮むき器などが導入されて、豊かな暮らしが始まる。
そんなある日、彼女は近くの丘に写生に行った。ここにはたくさんの花が咲いていて、その中でも野生のマリーゴールドが独特のオレンジ色をしていて奇麗だった。それらの花々は、この丘に吹くそよ風に乗せられて鼻を刺激する。そんなこの丘を彼女は気に入っていた。
写生を初めて、何時間か経ったが、彼女には数分にも思えなかった。
刹那、彼女の衣服が疾風に煽られて、旗のように揺れた。飛ばされた麦わら帽子を目で追って、頭上を見た。セルリアンブルーの真ん中に真っ白な鉄の鳥がいた。
「飛行機。」
彼女はそう呟いた。
そして彼女は美しいそれに恋をした。
それが、リディと空との出会いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます