スワロウ  

マッピー

 あの日、彼女の魔法は解けた。

 彼女を縛るものはすべて消え去り、ただただ残ったのは忘我する自分だった。それは性的な快感よりも上にある、ロマン的なものである。胸に負った弾丸の傷もその前では無力だった。操縦桿を握る手にはもう力は入らぬのに彼女は酩酊してるかのように、頬を緩めて笑う。 

 

       何も感じない、何も感じたくはない。 

                セルリアンブルーの真ん中でとわを過ごす。

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