第55話【必殺】
オルトは瞬く間にスクラードの懐に飛び込むと、剣をスクラードの胴へと横なぎに振った。
スクラードは不敵な笑みを浮かべながら後ろへ下がり、ギリギリで剣を避けるとオルトはその後、立て続けに剣撃を放ちスクラードはそれを全て避け、その後互いに距離を取った。
両者は不敵に笑い合い、オルトが首を左右に傾けた後、再びスクラードへと向かうと、先程よりも数段早い剣撃を繰り出した。
スクラードはそれをも避けるが笑みは消え、体勢も先程より大きく変えながら避けていた。
「!!」
そしてオルトが剣を振り切りスクラードの後方へ大きく飛ぶと、スクラードの頬に傷が付き血が垂れた。
「チイッ!!」
オルトは剣先に付いたスクラードの血を剣を振り地面へ飛ばした。
スクラードは右手を前に出すとオームの球を数発放った。オルトは高く飛び上がりそれを躱すとスクラードへと剣を振り降ろした。
「グオオオオオアア!!」
「!!??」
するとその瞬間、スクラードは右腕から剣を生やしオルトの剣を弾いた。オルトが構わず剣撃を連発すると、今度は全て捌ききった。
そして互いに剣を振り放ち鍔迫り合いになると、スクラードが口を開け至近距離でオルトへと口からオームを放った。
するとオルトは瞬時にスクラードの後ろへと移動し、剣を横腹へと振るとスクラードは後ろ向きのまま右腕の剣でそれを防いだ。
「クックックッ……人間のくせになかなかやるじゃないか……」
「それはどうも……」
そしてスクラードが剣を弾くと両者は離れた。するとスクラードがオルトへ声を掛けた。
「様子見は……終わったか?」
「そうだな……そろそろ本腰を入れるとしようか……」
するとオルトは構え、スクラードは不敵に笑った。
「はああああ!!!!」
次の瞬間、オルトの身体から大量のアークが吹き荒れると、オルトはアークを放出しながらスクラードへと突っ込んで行った。
「ガアアアアアア!!!!」
スクラードもオームを放出させるとオルトを迎え撃ち、両者は激しい剣激戦を始めた。そして両者は互いにアークとオームを込めた剣をぶつけ合いながら上空へと上がっていった。
それを見ていたマルコスは驚いていた。
「す、凄い……な、なんて戦いなんだ……次元が違い過ぎる……」
そして一瞬の隙を突きオルトがスクラードを地上へ吹き飛ばすと、オルトは左手をスクラードへ向けた。
「バニング!」
すると大量の炎がスクラードへと放たれ、周りは炎に包まれた。
「ガアアアアア!!!!」
しかしスクラードはその炎を衝撃波ですべて吹き飛ばした。
「この程度の魔法じゃ焼け石に水か……」
オルトは再びアークを放出させ、上空からスクラードへと急降下した。
「グオオオオオアア!!!!」
「!?」
するとスクラードは左腕からも剣を生やし、接近するオルトへと両腕の剣を同時に振り当てた。
オルトは剣で防ぐも吹き飛ばされ、民家へと突っ込むがすぐにスクラードへと飛び出した。
再び激しい剣撃戦を始めた両者はまたも上空へと上がり戦いを続けた。
「はあああああ!!」
「グヌ!?」
そしてついにオルトがスクラードの右腕の剣を折った。剣は回転しながら地上に落ちると地面へと刺さり、それを見ていたマルコスは歓喜した。
「やった!!」
しかしオルトの表情は変わらず、スクラードは折れた右腕の剣を見ると不敵に笑っていた。
「グオオオオオアア!!!!」
すると次の瞬間、再びスクラードの腕から剣が生え、スクラードはその剣を斜めに上に構えた。
「??」
スクラードが構えた腕を斜め下に振り下ろすと、腕から剣が離れオルトへと回転しながら飛んできた。
「!!?? おおっと!!」
オルトは驚きながらもギリギリで避けた。
「さすがの反応だな……」
「驚いたな……切り離せるのか……」
「ああ……そりゃそうさ」
「スクラードは不敵に笑っている」
「??…………!!」
すると先程投げたスクラードの剣が急旋回し、オルトの後方から迫ってきた。オルトは既のところでそれも避けたが、スクラードは高笑いをした。
「クハハハハハ!! その剣は俺のオームで作った剣だ!! その剣に宿るオームが尽きるまでの間は、俺の思うがままなんだよ!!」
剣は旋回を繰り返し何度もオルトへと迫った。しかしオルトは全て躱し切っている。
「クックックッ……なかなか上手いじゃないか……なら、これならどうだぁ!!」
すると先程折れて地面に刺さった剣が下から迫ってきた。
「くっ!!」
オルトは体勢を反らして躱すが服の一部と髪の毛を切られた。
「おいおい簡便してくれ、散髪にはまだ早いぜ……」
「クックックッ!! なあに……上手に切り刻んでやるさ、ただし……髪じゃなくて貴様の身体をなあ!!」
スクラードは左腕の剣も投げ、計三本の剣がオルトを襲ってきた。するとオルトは飛んできた一本目の剣を簡単に手で掴み、二本目の剣へと投げつけた。
「なに!?」
そして三本目の剣が後ろから迫るも、剣が迫る速さよりも速くスクラードへと迫った。
「クッ!!」
スクラードは急いで右腕から剣を生やし応戦すると、意外にもあっさりとオルトを吹き飛ばした。
「クククッ!!」
そしてニヤついたスクラードが正面を向くと、オルトへ投げた剣が自分へと迫っていた。
「グウッ!!」
咄嗟に左腕で防ぐと剣はスクラードの左腕に突き刺さった。それを見たオルトは笑顔でスクラードに声を掛けた。
「あらら、自分で操作出来るんじゃなかったっけ? それとも左腕に戻そうと思ったけど失敗しちゃったのかな?」
「グウウウゥ……」
スクラードは刺さった剣を抜くと投げ捨てた。
それを見たオルトは地上へ落ちて行く剣へフリーズンを放った。すると剣は凍りつき、地面へ落ちたと同時に粉々に割れてしまった。
「そのままにしておくと後々また操作されそうだからね」
「グヌヌヌヌゥ……ガアアアアア!!!!」
スクラードは身体中からオームを放出させ、オルトへと突っ込んできた。
オルトもまたアークを放出させ迎え撃つと、両者の周りからはオームとアークが吹き荒れた。しかし次第にオルトがスクラードに剣を掠らせることが増えてきた。
「グウッ!! グヌヌヌぅ……」
「どうやらこれが限界みたいだな……」
オルトは剣を肩に担ぎ、余裕を見せた。
「た、たかが人間なんかに……たかが人間なんかに……」
スクラードからオームが滲みだした。
「俺がやられるかー!!!!」
スクラードはまたもオルトへと突っ込んだ。そしてオルトは数発の剣撃を弾いた後、スクラードの胸を切り裂いた。
「グヲワアアア!!!!」
スクラードは両手からオームを何発も放つがオルトには当たらない。オルトは瞬時にスクラードの懐へ入り込むとスクラードの身体に手を当てた。
「ハヴィング!」
「グヲオオオ!!」
スクラードは真っ逆さまに地上へと落下し、そして地面へとめり込んだ。スクラードは怒りをあらわに瓦礫を吹き飛ばし立ち上がった。
オルトも地上へ降りると瞬時に距離を詰め、剣撃を連続で放った。
「ヴァァァアアア!!」
スクラードの身体はたちまち傷だらけにはなったものの、致命傷のはなっていない。
「流石に堅いな……」
するとオルトはスクラードから大きく距離を取り剣を構えた。
「はああああ……」
オルトは精神を集中させていた。
「クウウゥゥ……グンヌヌゥウ……」
スカールも怒りを露わに右手にオームを集中させた。
「グウウウ……あ、跡形もなく消し飛ばしてやる!!」
スカールは先ほどよりも一回りも大きなオームの球体を作り出すと、オルトへと放った。
「死ねええい!!!! ガルボドム!!!!」
その瞬間、オルトから出ていたアークが消えたかと思うと、オルトの持っている剣が光り輝いた。
「はあああああ!! フィルズディザード!!」
そしてオルトが剣を振り放った瞬間、アークの光が剣から放たれた。オルトの放ったアークはスクラードのオームを切り裂き一直線にスクラードへと迫った。
「クウァア!!」
スクラードは身体を反らして避けようとしたが間に合わず、右腕が切断されてしまった。
「グアアアアアアアア!!!!」
それを見ていたドリルは呟いた。
「やっぱ……強ええな、あの人は……」
オルトは剣を降ろしスクラードに声を掛けた。
「それではもう戦えないだろう、勝負あったな」
スクラードは右腕を押さえると右腕にオームを集中させた。
「カァァアアア……ガアアアアアアア!!!!」
すると今度は右腕自体が大きな剣となった。
「おいおい……そんなことも出来んのかい? しかし大分オームが減っている……それじゃあ俺には勝てんぞ」
「ハアハアハアハア……グヌヌヌヌゥゥウ……くっそがああああ!!!!」
スクラードはその大きな剣を振り上げオルトへと突っ込んだ。
しかしオルトはスクラードの剣をことごとく避け、後ろへ回り込むと背中を切った。
「グアアアアアア!!!!」
「もういい、良い加減終わりにするぞ……」
するとスクラードはうなだれながらも笑みを浮かべた。
「んん?? ぐはあっ!!」
オルトは急に後ろから衝撃を受け、前のめりに倒れた。
「な、なんだ……?!」
オルトが衝撃を受けた方向を確認すると、なんと先程切り落としたスクラードの右腕がオームを放っていたのであった。
しかし右腕は蓄えていたオームが無くなったのか、その後消滅した。
「クハハハハッ!!!! 油断したな!! くらえ!! ガルヴァ!!」
「くっ!!」
しかしスクラードはオルトではなく、違う方向へと放った。
「馬鹿な、一体どこへ放って……?」
スクラードはドリルとシズの元へとオームを放っていた。
「クハハハハ!!!! お前の大事なお仲間が死んでしまうぞ!! 急いで守らないとなあ!!」
「くそっ!!」
オルトは急いで体制を立て直し、二人の元へと走った。
「クハハハハー!! 更にどでかいのを追撃してやるぜー!!」
するとスクラードは左手にオームを溜めた。
しかしその時、オルトは足を止めた。
そしてスクラードのガルヴァが二人へ直撃しようとしたその時、オームは消滅した。
「なにい!!??」
するとドリルが笑いながら呟いた。
「なんだ……南東にいるんじゃなかたのか?」
「ドリルさん! 大丈夫ですか!?」
そこには剣を構えたフィルが立っていた。
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