第50話【魔法士】
――正面組
ジレット達は一斉に
「うをおおおおお!!!!」
「ケケッ!!」
その時、ドロウルが地面に両手を当て力を集中した。
すると地面のいたるところから爆発が起こった。
そしてジレットが爆発から身を避けた時、背後にバルザが回り込み、ジレットの背中に拳を打ちこみ吹き飛ばした。
【バルザ】
顔より太い首に更にその倍はあるだろう太い腕を持つ、 分厚い胸筋を拳で叩くことで高濃度のオームを放出する。
「ぐああ!!」
それを見たスコッチが叫んだ。
「ジレットさん!!」
そのスコッチの頭上にはブルームが現れ、鎌の様な右腕を突き出した。
しかしそれをキリュウが刀で止め、スコッチへ声を掛けた。
「離れていろ……」
キリュウは刀を返し、ブルームの右腕を弾き返した。
【ブルーム】
逆三角形の顔に、大きな目を持つ。両腕は肘から先が鎌のように湾曲しており、ノコギリの様な刃が付いている。
そしてジレットを吹き飛ばしたバルザが追い打ちを掛けようとしたが、見の前にロコが立ち塞がった。
「おい、俺との勝負はまだついてねえ筈だそ……」
「フッ、それは失礼だったな……いいぜ、続きをやろうか」
それを見たジレットが叫んだ。
「おいおいロコ! 抜け駆けはいけねえぜ!」
ジレットは立ち上がり両拳をぶつけ合わせた。
「俺も混ぜろ!」
そしてロコは少し笑うと声を上げた。
「へっ……おい!! デスク!! バトル!! お前らは他の
二人は答えた。
「はい!! 任せて下さい!!」
一方、ドロウルの爆破から上空へと飛び上がり逃れていたカリーは、ドロウルを見下ろし呟いた。
「どうやらあいつは俺が
ドロウルは立ち上がりカリーを見上げると、右手を広げて差し出した。
「空中戦が……好みか?」
ドロウルの身体から炎が噴き出した。
【ドロウル】
魔法士が
ドロウルは右手から炎を筒状にカリーへと放った。するとカリーも右手から大量の氷の粒を渦状に放出した。
両者の魔法は中間でぶつかり合い均衡を保った。その時、ドロウルの左面からラッドが剣を振り上げ襲い掛かった。
「はあああ!!」
するとドロウルは左手から風を起こしラッドへ放った。ラッドの身体は風を受けると所々が切り裂かれた。
「ぐおああああ!!」
その時、上空のカリーは魔法を放つ手を両手に変え、更にアークを込めた。
するとカリーの放った氷の渦は大きくなり、ドロウルは咄嗟に炎を出す手を止めると氷の渦を避け、上空へと舞い上がった。
カリーは少し笑い、ドロウルへ声を掛けた。
「空中で二人きりのが、お前さんにとっても都合が良いんでないかい?」
「ケッケッケッ……魔法で俺と張り合うつもりか……面白い……」
すると二人は空中を飛び回り、魔法による攻防を始めた。そして地上にいるラッドは空を飛べない為、戦いを見ている事しか出来ずにいた。
「くそっ!! なんて戦いだ!!」
しかし、序盤こそ両者互角の戦いを繰り広げていたが、次第にドロウルが押し始めていた。
「うを!」
ドロウルの炎がカリーの右肩を掠り、カリーが体勢を崩すと、ドロウルは風の刃を無数に放った。カリーは辛うじて避けるも数か所は切り裂かれた。
「ぐぅ!!」
(くそう……魔法の回転が早え……これじゃあアークを溜めるに溜めらんねえぞ……)
ドロウルはまたも風の刃を無数に放った。
カリーがそれを右側へと避けると、ドロウルは笑みを浮かべた。
「ケケッ! いいのか? そっちに避けて……」
「!!??」
カリーが顔を正面に向けると、そこには黒い球体のオームが浮遊していた。
カリーは自らオームに突っ込むと大爆発をおこし地面へと落ちた。
「ぐああああ!!」
「ケーケッケッ!! 馬鹿が!! 自分から突っ込みやがった!! 飛び回るのは結構だが、周りはよく見ることをおススメするぜー!! ケーケッケッケッ!!」
地面へと落下したカリーにラッドが駆け寄った。
「カリー!! 大丈夫か!? しっかりしろ!!」
「あ、ああ……大丈夫だ、いくらかはアークでガードした……」
「カリー! 地上で戦うんだ! 俺も加勢する!」
「うーむ……そうだなあ……」
「悩んでる場合か!! 小さなプライドは捨てろ!! 俺を信じろ!!」
「わかった、じゃあ……お前一人で戦ってくれ」
「ええ?? いや、だから……二人でって!」
カリーは立ち上がった。
「奴の魔法の回転が早すぎてな、アークを溜める暇がねえんだよ……お前が奴の相手をしててくれれば、その間に大量のアークを溜めて、奴に特大の魔法をぶっ放せる。奴にこまごました魔法をいくらぶつけても意味がねからな」
「そ、そうか……」
「どうだ? やれるか?」
「わ、わかった!! まかせろ!!」
するとドロウルが地上へと降りてきた。
「空中戦はやめたのか?」
「う、うをおおおお!!」
ラッドは剣を構え、ドロウルへと突っ込んで行った。その隙きにカリーは目を閉じてアークを集中させた。
ラッドはドロウルへと剣を振り上げると連撃を放った。ドロウルはそれを全て避けると空中へと飛び上がった。
「逃がすかぁ!!」
そしてラッドがドロウルを追い高く飛び上がると、ドロウルはラッドへと両手を突き出した、するとラッドは身体に急激な重みを感じ、地面へと落下し、這いつくばった。
「ぐうがあ!!」
そしてドロウルは黒い球体のオームを何発もラッドの背中へ投げつけ爆破させた。
「ケケケケッ!! 弱い弱い弱い!! 魔法も使えん下等な兵士が!! 粉々に砕け散れ!!」
その時、爆炎の中からアーク光が輝いた。
「なに?!」
すると爆炎の中からラッドが飛び出し、ドロウルへと剣を振った。
「おおおおおお!!!!」
ラッドの剣からはアークの光が放たれ、一直線にドロウルへと向かっていった。
「う! うわあああ!!」
ドロウルは何とか避けようとするも間に合わず、左腕を切り落とされた。
「ギャアアア!!!!」
ラッドはかなりのダメージを追っており、受け身も取れずに地面へと落ちた。
「がっ!! う、うぅ……」
ドロウルは鬼の形相で地上にいるラッドを睨み付けた。
「グゥゥ……お、おのれぇぇぇ……ズタボロに切り裂いてくれる!!!!」
ドロウルは片手をラッドの前にかざすとオームを溜めた。
すると大きな風の球体が現れ、その球体の中には無数の風の刃が渦巻いていた。
「ぐっ! くそっ! 身体が!」
ラッドのダメージは大きく、その場から動けずにいた。
「死ねえええ!!!!」
その時、カリーが呟いた。
「いいぜラッド、よくやった……」
ドロウルが声に気付きカリーの方を見ると、腰を低く落とし、両腕を構えるカリーの姿があった。そしてカリーの両腕の周りには炎の渦が巻いていた。
「な!?」
「あとは任せな」
カリーは一気に両手を前に出した。
「バニルドン!!」
カリーの両腕から三つの炎の渦が飛び出すと、一つに合わさり巨大化し、ドロウルへと向って行った。
「グウッ!!」
ドロウルは咄嗟に溜めていた魔法をバニルドンへと放った。しかし強大な炎によってあっさりとかき消されてしまった。
「うっ! うあああああ!!!!」
ドロウルはバニルドンに飲み込まれ、跡形もなく消滅した。
「はあはあはあはあ……」
カリーは疲労で両手と両膝を地面に着いた。
「へっ……もうアークが限界だ……あとは頼んだぜ……」
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