第3話 世界のルールとスマホ


あれから俺は ――スマホを持っていないことに気付いたので――― 家にあったパソコンを使って、この世界のことを調べまくった。……スマホもパソコンもそうだが、IT技術関連は想像通り前世とほぼ変化が無いようだ。よかった。皆が普通にホログラムとかを使ってたらやばかったよ。あんなの使える気がしないからな。

……普通にスマホが欲しい。




とりあえず調べたことを簡単に説明をする。


まずこの世界は前も言ったとおり、男女比が男1:女30とかなり偏りのある世界だった。

そのため、男性一人に女性が複数人で結婚する重婚が推奨されてきた。

そして男性に選ばれる女性は美人であることが殆どな事から、この世界の女性はもちろん差違はあるが全員美人だ。

しかし男性は遺伝子的に問題があるのか、殆どの場合不細工だ。

……ちなみに俺の顔は、母さんと美空が言うには世界で一番格好いいそうだ。……何も言うまい。


また、人口の偏りと減少を受けて、WPO――世界人口機関では、人口の維持のために男性の結婚の義務化と重婚の推奨をしている。また、それだけだと圧倒的に人口維持が出来ないので、20歳以上60歳以下の男性に精子を月一度国に提出する義務もある。これは義務ながら月一度で10万円ほど貰えるらしい。加えて自由枠として、精子を15歳から60歳以下の男性が国に提出することも出来る。こちらも一回で10万円貰える。


そして法律では、男性の刑が精子の提供とかだったりする。……つまり懲役刑では精子の提供やそういった行為が仕事になる。他にもあるらしいが、大体は男性にしか出来ないことで世界の役立つことだ。

ちなみに俺はこの刑罰が軽いと思うが、これは前世の記憶があるからだ。この世界の男子には死刑も同然だそうだ。

その他の法律はあまり前世との変化は無い。



――という感じだ。やはり色々変わってる部分はあったので調べて正解だった。まあ、犯罪とかは刑が軽いからと言ってするつもりは無いが。


個人的な注目ポイントはやはり重婚。そして精子提供だろう。

俺は今16歳だから既に精子提供は出来ることになる。……お小遣いを稼げる!

そして結婚だが、これは男女が18歳を超えたら可能になる。そして結婚相手の人数に制限は無い。

正しくは、男性は制限が無いが女性はその男性以外とは結婚できない事になっている。

ただでさえ結婚したくないのに浮気されたら困るから法律で決められているのだろう。

……まあ俺には関係の無いことだ。







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俺は今、母さんと美空とリビングで寛いでいる。なんていうことは無い。ただの家族団欒だ。

その証拠に、二人は幸せそうに微笑んでいる。



「そう言えば母さんにお願いがあるんだけど」



俺は前々から母さんに頼もうと思っていたことがあったので、この機会にお願いすることにした。



「うん?! 何か欲しいのかしら?! ゲーム? 洋服? 何でも買ってあげる!! 」



この世界の息子を持つ母親は皆こうなのだろうか。……甘やかされすぎていることが容易に想像できる。



「いや、ゲームじゃ無いんだけど……実はスマホが欲しいんだ」



そう。俺の欲しい物はスマホである。この前調べ物をするときに気付いたが、なんとこの俺はまだスマホを持っていないのだ。高校生にもなってスマホを持っていないなんて、前世ではあり得ないだろう。

スマホさえあれば、通話からメールにゲームも出来て非常に便利である。



「そう言えばそうね。はーくんにスマホはまだ買っていなかったわ」


「確かに! 美空だって持ってるのにお兄ちゃん持ってなかったね!」


「え? 美空はスマホ持ってるのに俺持ってなかったの?」


「うん! お兄ちゃんがスマホ欲しいってこと初めて知ったもん!」



まじかよ。一体この世界の俺は普段何をして生活していたんだ? 本でも読んでたのか?



「俺も今年から高校生になるし、一応スマホ持っておきたいなって思ったんだ」

……スマホ無いと女子と電話とかチャットとか出来ないしな。



「確かにそうね。――じゃあ週末に電気屋さんに行って買ってくるわ!」


「ほんと?! ありがとうお母さん!!」



あまりの即決に思わず叫んでしまった。……やっぱり甘すぎるよ母さん。



「……っ!! い、良いのよ! はーくんの為なら!! ……うふふ……やっぱりはーくん可愛いわぁ 。……18歳になったら……うふふふ」


「ちょっ!! お、お母さんっ!! にやけすぎだよ!あと変な妄想はだめだよ!お兄ちゃんは美空のなんだから! ――……むふっ……むふふふふ」


「――っ!! 美空!! それはどういう意味よ! それにあんたの顔の方が酷いことになってるわよ! 」


「――っ!お、お母さんには言われたくないよ!!」



――何やら二人とも顔を近づけて盛り上がっているようだが、何をしているのだろうか?

まあ、何にしても仲が良いに越したことは無いか!




――それから暫く、俺は仲良く(?)言い合う二人を眺めていた。




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