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見るに、あのアームが天井付近に折りたたまれた、コンパクトなスペースの一角。いまクスノキファミリーの眼下に、例のカプセルが横たわっています。
それは、人ひとりが横になれば一杯というサイズ。で、その半透明の扉越しに、誰かが仰向けに寝ているのが窺えます。
「気を失っているだけだろうか〜。それとも〜…」
「そんな〜、あなた〜。物騒な〜」
「怖いです〜」
「とにかく、扉を開けてみよう〜」
コトとシトが見守る中、テイトがカプセルの脇にしゃがみ込みました。
そして、すぐにその開閉スイッチを探り当てるや押し込めば、
うぃいーんっ…
という機械音と共に、ぱかっ…と、カプセルの扉が開きました。
すると同じくして、
「パパ船長〜…」
「あなた〜…」
テイトの頭上で、シトとコトの声が響きました。
「ああ~、これは驚きだ〜」
いったい何事か。カプセル内に横たわる人の姿を目に、クスノキファミリーは、(案の定、表情や口調からは伝わってきませんが)驚きを隠せぬ様子です。
なぜなら、それが若い女性は女性でも、なんと透明な肉体の持ち主。どこぞの熱帯魚等よろしく、その中身が全て透けて見えているからです。
ええ、骨も内蔵も。ただそれぞれの臓器が、オブラート状の膜に包まれている為、さほどグロテスクな印象は受けません。
「ふむ〜、おそらくティア星人だな〜。この彼女は〜」
「ええ〜。話には聞いたことがありますが〜、もちろん見るのは初めてです〜」
「ワタシもです~、ママ〜」
だそうです。
「とりあえず、医務室へ運んで、ドクターに診て頂こう〜」
ということで、テイトを始めクスノキファミリーは、まもなくティア星人とやらの彼女を担架に。そのまま医務室へと向かうのでした。
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