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「…ゼロっ、出動だ。では、マーガレット君、留守を頼んだよ」


「了解です~ッ。気をつけて行ってらっしゃい〜ッ」


 なぜか6畳ほどの和室。ここ七転署『人形課』に、或角刑事の声と共に響くは、あのマーガレット・サイトウさんの声ではありませんか。


 実は、そうなんです。新たなセクシーボディを手に入れたものの、行くあてもないことから彼女は、ちょうど人員を募集していた同課に。或角刑事の助手として勤務することに決まったのです。


 なんといっても当人形課は、或角刑事とゼロしかいませんでしたからね。いままでは。


 それにしても、制服姿がなかなかお似合い。いまのサイトウさんは、まるでアメリカンポリスのようです。


 相変わらずドラキュラファッションの或角刑事同様、この和室とのギャップが凄いですけどね。


 はてさて、では史都の方はどうしているのかと言えば…



「…はい、史都ちゃん。これ僕からのプレゼント」


 学校からの帰り道、本日はツインテールヘアの史都が、有田くんから何かを手渡されました。


「もしかして、これは御札ですか〜」


「うん、そうなんだ。近所に住んでいる霊能師の先生に、この前の史都ちゃんの件について話をしたら、この御札を身体に貼るといいって、僕にくれたんだ」


 その文字や文様の描かれた小さな紙を身体のどこかに貼るだけで、もう他の霊に憑依されることも、そうはなくなるらしいです。


「ありがとうございます〜。では、さっそく貼ってみます〜。どこがいいんでしょうか〜」


「前だと目立ち過ぎるから、やっぱり背中がいいかな。僕が貼ってあげるよ」


 という訳で、その御札を有田くんが、ぺたりと史都の背に。


 しかし、いつもなら髪で隠れてしまうであろう位置ながら、今日はツインテールゆえ、それが丸見えとあって、なんだか不気味です。

 

 その姿、封印された呪いの人形みたいに見えなくもありません。


 でも、


「とてもよく似合ってるよ。史都ちゃん」


「本当ですか〜、ありがとうございます〜」


 御札に似合うとかあるのかはともかく、そのプレゼントのおかげもあって、いまの2人は、とってもいい雰囲気です。


 いまだ有田くんは、史都から告白の返事を貰っていませんが、それでもこうしてラブな感じでもって彼らは、この2人の時間を楽しく過ごすのでした。


 めでたしめでたし。


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