12
「…七転署の或角刑事です。香山さん、あなたに窃盗の疑いが掛かっています」
「あ、あひーっ…」
その後、或角刑事と辺境伯さんが乗り込んだ時には、すでに出先から帰宅。そこで、この香山から事情を聴くと共に2人は、無事に史都を救出するに至りました。
ついでに、といってはなんですが、例のテーブル上のゼロも発見。今回の事件も、ようやく解決となったのです。
ちなみに、この度の香山の行為は、やはり窃盗や監禁の罪に値するようですが、史都や辺境伯さんからの要請もあって、厳重注意で済むことに。香山が反省している点も考慮し、そういう運びとなりました。
が、まだ問題は残っています。
「…あたいは、この身体が気に入ったんでね〜ッ。んだから、出ていくつもりはないね〜ッ」
ところ変わって楠家のリビング内。現在、学校から戻った『偽』の史都を、皆でもって説得しているのですが…
本物の史都が帰宅したことにより真相が判明した今も、その偽の史都が、彼女の身体から離れる気配はありません。
「確かに、このリコちゃん人形は自由がききませんし、あなたの気持ちも分かりますが〜」
偽の史都を始め、帝都に湖都、そして雅伯先生がソファに座る一方、その膝下のテーブルに佇む
「でしょ〜ッ。んだから嫌だわさ〜ッ。まあ、本当だったら、もっとグラマラスなセクシーボディが理想なんだけどね〜ッ」
楠一家の声と共に、この偽史都の声が、テーブル脇のラジカセから響きます。
と、そんな中、なにか言い出したのは帝都です。
「あの〜、偽物さん〜…」
「あいや、『偽物』とは失礼な〜ッ。あたいには、マーガレット・オイゲーニエ・ゴンザレス・サイトウっていう立派な名前があるんだかんね〜ッ」
ええ、そもそもどこ出身の霊なんでしょうかね。この偽物さんは。
「それは失礼〜。では、サイトウさん〜…いま確か『グラマラス』と言いましたな〜」
それがどうかしたのか、と問われれば、
「なら、ちょっと待っていてください〜…」
はたと帝都が立ち上がりました。
「どうなさったんですか、あなた〜」
その湖都の声を背に、まもなく帝都が自身の部屋へと入っていきます。
そして、しばし…なにやら担いで戻って来たと思えば、
「代わりに、これならどうでしょうか〜」
よいしょと彼が皆の前に置いたのは、そう…かつて史都の身が焼け焦げた際、一時的に使用した、あのグラマラスなブロンドビューティー人形に他なりません。
有田くんとの初デート時にも使われた、アレですね。
にしても、なぜブルマ姿に? 謎です。
「なるほど〜」
思わず声を重ねる史都、湖都、雅伯先生の前で、サイトウさんが幾度も頷いています。
「うんうん、これなら代わりに乗り移ってもいいかな〜ッ」
どうやらサイトウさんは、そのグラマラスなブロンド人形を、甚くお気に入りの模様です。
ということで、さっそく移動開始。
かくして
はい、これにて一件落着です。
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