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「奥様っ、お嬢様っ…旦那様がお戻りにっ…」
夢路家の勧めもあって、暇な…あいや、事件解決に積極的な或角さんも、泊まり込み。そんな状況の下、きょうも皆が集まるダイニングに飛び込んで来たのは、館の玄関前を掃除していた若いメイドさんです。
「まあー、あなたー…」
「お父様っ…」
「旦那様っ…ご無事で」
見れば、そのメイドさんの肩の上あたりに、例のウイングを背負った辺境伯さんが浮かんでいます。
「一体、いままでどこにいたのですか、お父様」
とっさにカップの縁から、(きょうも両脚で逆さにぶら下がっていた)美伯さんを掌に。向かいの席の或角さんともども、雅伯先生が椅子から立ち上がりました。
「実は、これこれしかじかでー…」
「…なんと、史都さんまでが…」
父の説明を耳に、驚きを隠せぬ様子の雅伯先生です。
「まさか、隣に並べられた人形が史都ちゃんだったとは、本当に驚いたよー」
「では、ご主人…私は、刑事の或角と申します。いまから、そのアパートまで私を案内してください。その娘さんも救出せねば」
すでに、ここダイニングの戸口へと向かいつつ、きりりと或角刑事が言いました。
「ガッテン承知の助ですー」
辺境伯さんも、急ぎ飛んで或角刑事に続きます。
「ならば私は、楠さんのところへ連絡してみます」
そう言ってまもなく、雅伯先生も当ダイニングを後に。『私も一緒にー』という美伯さんを掌に乗せたまま、電話のあるリビングへと向かいました。
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