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「な、なるほど。そうだったん…だ」
なんとか納得した、というか、自らを納得させた様子の有田くんです。
そうだったのです。そのスーパーセクシーブロンド美女は、こう見えて本当に史都だったのです。
で、それは去る一昨日、すなわち金曜日の下校時のこと。
帰宅の道中、火災現場に遭遇するや史都は、その宅の2階の窓で逃げ遅れた猫を救出。それに伴い顔も身体も、部分的に焦げたり溶けたり(怖っ)してしまいました。
よって、またも帝都が奔走。昨日、かの製造工場にて、今度は丸ごと別のドールを購入。あらたに史都を、それに憑依させたのです。
にしても、これほど完膚なきまでに、かつての史都の面影が皆無とは…せめて、もう少し本来の彼女に近い姿のドールはなかったんでしょーかね。まったく。
でも、たとえブロンドであろうがブロンズ像であろうが、その中身が史都である限りは、やはり有田くんの想いは変わらぬようです。
「じ、じゃあ…行こうか」
「はい〜」
気持ちも新たに有田くんが、史都ともども、改札へ向かって歩き出しました。
ついに、初デートの始まりです。
…けれども、その史都のセクシーフェイス&スーパーボディに注がれる周囲の目も気になって、結局、ずっと有田くんは気分が落ち着かず。
よって、告白の返事を貰うどころか、映画から、その後の食事から何から、ほとんど楽しむ余裕もなく彼は、この史都との初デートを終える羽目になったのでした。
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