3

 2日後の月曜日。


「おはようっ」


「おはよー」


「あいや、ねむー…」

 

 朝。2年マグロ組の教室に、男女生徒たちの声が響きます。


 そんな中、登校まもなく凛の席へやってきたのは、久美です。


「ねね、凛。昨日の『昭和に転生した瞬間にオート三輪に轢かれてあべし・・・ッ』観た?」


「観た観た。やっぱ面白いわー、あのドラマ」


「主演の安倍茂が、イイ味出してるしねー」


 などと2人が話していると…


「おはようございます〜」


 と、すぐ後ろの扉から教室に入ってきたのは、ひとりの美少女です。


 が、


「はて、誰かな。いまの子?」


「あいや、分かんない」


 長い黒髪を揺らしつつ窓際の方へと向かう彼女を、それぞれ凛と久美が、じっと目で追っています。


 すると、やがてその見覚えなき美少女が着いたのは、なぜか史都の席でした。


「ありゃ、あの子…なんで史都の席に?」


「すんごいカワイイ娘だけど、もしかして転校生、かな」


「でも、なんで転校生が、史都の…」


 そこで、ふと互いの顔を見るや凛と久美が、うんっ、と頷き合いました。


 そうかと思えば2人して、その美少女の元へ。まずは凛が話しかけます。


「あの…そこは別の子の…」


「別の子がどうしたんですか、凛さん〜」


 こちとら慣れた口調。カバンの中身を机の中に移す傍ら、彼女が凛に聞き返しました。


「…って、なぜ私の名を?」


「もちろん知ってます〜。久美さんも〜」


 清楚な顔立ち。そのキラキラの目で、彼女が2人を見上げています。


「んっ、そういえば、その独特の喋り方は…ひょっとして、あなた史都?」


 はたと久美が口を挟みました。


「はい〜、そうです〜」


 言われてみれば、無表情なところと、喋っても口が動かぬところは、まさに史都ですが…

 

「でも、スタイルはともかく、顔が似ても似つかないし…」


 凛の言う通りです。


「はい〜。実は、かくかくしかじかで〜」


 顔は異なれど、どうやら史都に違いなき彼女が、なにやら説明を始めました。


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