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 さて、下校の準備をしてから職員室へ。と思って史都が、カバンに教科書やノートを収めていると、


「ねーねー、史都っ。これからカラオケいかない?」


 ほとんど歩くカラオケみたいな娘に、そう声をかけてきたのは、クラスメートの結城凛ゆうきりんです。


「あ〜、凛さん、ごめんなさいです〜。きょうはこの後、やらしい磯野先生に…ではなく、普通の磯野先生に個人授業をしていただく約束ですので〜…」


「え〜、そうなの〜。史都ったら真面目なんだから〜」


 ショートボブのカワイ子ちゃんが、ちょっぴり頬を膨らませます。


「すみませんです〜」


「ま、いいわさ。でも次に誘ったら、絶対きてよね」


「もちろんです〜。いまから楽しみでわくわくします〜」


 わくわく〜…


 わくわく〜…


「そ、そお…よね」


 して見れば、凛の額から頬にかけて、一筋の冷や汗が。

 

 そう、その史都のわくわく感が、やはり相手に伝わらぬ理由もまた、あえて言うまでもありません。


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