第11話 三股…?

「一宮さん、好きだ!俺と付き合ってくれ!」

「へぁ?」

一宮さんはとてもびっくりしていた。

「いや、三石何言ってるか分かってんの?三股だよ?私の告白をあんたが振ったんじゃん、なつきちゃんと咲菜ちゃんを幸せにしてあげたらいいのに。」

「そう、思ってたんだけど…、その、何と言うか、一宮さんにアタックされてると、また好きになってしまってな…。でも三股はさすがに無理だと思って諦めてたんだけど、やっぱり俺はなつきと咲菜ちゃんと一宮さんが好きだ。三股なんて出来っこないって思うけど、一宮さんと俺との関係は秘密にして三股させて欲しい!俺の勝手だ、バレた時は俺が責任を負う!お願いします!」

俺は一宮さんの前で頭を下げ手を前に出した。

「あんたを、信じて良いの?私、人前でキスする女だよ?」

「人前でキスするのは遠慮して欲しい!」

「…ふふ、やっぱあんた面白いわ!…でも考えさせて、やっぱ三股ってなると私も不安になるし、明日までに考えとくから。」

「あ、わかった。」

「今日はもう帰ろう。」

そう言って2人で並んで帰った。

やっちまった。俺やっちまったな。



ー学校の屋上ー

「なつき、咲菜ちゃん、昨日は帰らせてごめん!」

「もういいよ、どれだけ謝んのよ!」

「そうですわ、そんなに固くなることはないわ、私たちもあの子に言い過ぎたもの。謝るのは私たちの方だわ。」

2人は気分良く許してくれた。それは嬉しいのだが、一宮さんに告白したという罪悪感があった。2人を裏切るような行為だったからだ。でももう後戻りは出来ない、3人への気持ちは俺の正直な気持ちだ。

「本当に悪かった。一宮さんも落ち着いたみたいだし2人にも謝ってたぜ!また直接謝罪来ると思う!」

「そっか、まぁ2回もキスされたらそりゃあ私達もキレるわけだよ!あの子にはしっかり反省させないと!」

なつきは頬を膨らませていた。それに咲菜ちゃんが笑ってとても楽しかった。ここに一宮さんも入ったら個性が溢れてもっと楽しいだろうな…。こんなことも考えながら俺は一宮さんに呼び出されたことを思い出した。

「なつき!咲菜ちゃん!今日先帰っといて!まだ提出物終わってねぇから!」

「おぅけーぃ!」

「分かりましたわ!」

そう言い、2人が帰るのを見届けてから行った。

「一宮さん、お待たせ。遅くなってごめん。」

「ほんとよ!遅すぎるわ!もっとしっかりしてよね!?レディーより先に来るのが当たり前!」

「あはは、ごめんごめん!…所で一宮さんの返事を聞かせて欲しい。俺の気持ちは変わってないから。」

「そう、それはありがとう。私も、三石のこと、好きだ!まだ三股の不安があるけど、私も三石好きだし、この関係を秘密にされても大丈夫だし!」

これも軽々しく聞こえるが、一宮さんなりに1日しっかり考えてくれたんだろうな。そういう所を好きになったんだ。

「本当に良いの?迷惑かけるかもしれないけど…。不器用だし、3人上手く接することが出来るか分からないけど。」

「その責任は、あんたが負うんでしょ?そんなに覚悟してんなら自信持ちなさいよ!私もバレないように気をつけるから!」

「わかった!一宮さん、付き合おう!」

「はいはい、そんな大声で言ったら他の人に聞こえるわよ。」

この日もこんなこと言いながら2人で並んで帰った。









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