第6話 問題解決!
あれから数日が立って、俺はなつきに話しかけられなかった。確かになつきが言ってることは合っているから余計二股についてどう話そうか思いつかない。なつき目線で見たら、好きな人が自分を叩いた人を好きになるっていうことであり、自分を傷つけた人と付き合っているということだ。
(俺は、好きな人に何をしてるんだ…。)
俺は、なつきと話し合うことにした。どんな形でも俺の気持ちとなつきの気持ちを言い合って、これからどうして行くのか、しっかり決めておきたかったのだ。
ー放課後ー
教室で唯一、なつきと俺だけが残った。
なつきは俺と人きりで気まずかったのか、さっさと教室から出ていこうとした。
その時、
「なつき!」
俺は、彼女が教室を出ると二度と話し合えないような気がして、焦りから大きい声で名前を呼んだ。
「っ、びっくりしたぁー、何?」
なつきは少し驚いた様子だったが、また素に戻った。
「なつき、俺、前は何も言えなかったけど…」
「何?」
なつきは俺を少し睨んでいた。だが、自分の気持ちをなつきにしっかり聞いて欲しいあまりに、その睨みつける目を気にしなかった。
「なつき、言ったよな?『自分を叩いた人を好きになるなら私は俺と別れる』って。」
「そうね、確かにそう言ったわ。今もその気持ちに変わりないよ。私より、咲菜ちゃんの方が好きなら別れるわ。今だって、登下校は前みたいに一緒に行ってないし、前みたいに教室で話してないし、もう付き合ってる意味は無いよ。」
「ある!付き合ってる意味、あるよ!」
俺は食い気味にそう言った。
「俺は!俺は、なつきが好きだから付き合った!咲菜ちゃんが好きだから付き合った!でもどっちを取るかって言ったら、絶対なつきを取るよ!咲菜ちゃんのことはもちろん好きだけど、なつきが1番好きだーー!」
なつきは少し驚いた様子だった。
「だから!なつきが咲菜ちゃんと付き合うなって言ったら付き合わない!話すなって言ったら咲菜ちゃんと話さない!でも!少しでも可能性があるなら、咲菜ちゃんと二股させて欲しい!お願いだ!」
正気なのかと疑うほどのお願い事だとは自分でも自覚している。でもどっちも好きだから、どっちもと付き合いたい。少しでも可能性があるなら…。
「反省して謝って、私への気持ちも話してくれてありがたいけど、結局二股の話?ひかるとのことは考えるけど、咲菜ちゃんからごめんなさいの一言もないんだから嫌なものは嫌よ。」
俺とのことは考え直してくれると言ってくれたが、咲菜ちゃんとのことは無理か…。
「わかった!咲菜ちゃんが、自分から悪いと思ってなつきに謝ってくれるように、俺、頑張るから!」
俺はなつきに約束した。
「咲菜ちゃんのこと、ひかるが頑張ってもどうなるかは分からないけど、咲菜ちゃんから来てくれるなら少しだけ待っててあげてもいいけど?」
なつきとは、少しずつ前のように良い感じになってきていた。
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