第5話 別れ

俺の手を握り音楽室を出てしばらく走ったなつきは、少し悲しそうな顔をしていた。


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それから咲菜ちゃんは俺に諦めずに仲良く付き合ってくれているが、なつきの方は咲菜ちゃんに怒っていて、俺までも無視をするようになった。

(ま、そりゃそうだろうな。元はと言えば俺が二股なんてするからだよな。)

そう反省しつつもなつきには話しかけられず、登下校もなつきとではなく咲菜ちゃんとするようになった。



ーある日の放課後ー

放課後になつきを教室に呼び出したのは良いが…。

「ひかる、話って何?何話すの?」

なつきは、すごく怒った表情だった。

「まぁ、あのさ、ごめんな。勝手に二股し始めて、なつきに二股がバレたら二股させてくれって…お願いしてしまって。」

「『バレたら』?…バレなかったらずっと黙って二股しようとしてたってこと!?」

俺の言葉が更になつきを怒らせてしまった。

「そんなんじゃねーよ!本当はなつきに正直に話すつもりだった!人気のないところでゆっくり話して二股をして良いかをお願いしたかった!…でも咲菜ちゃんが先に言ってしまったから…。結果こんな感じになっちゃってな。」

「いやいや、人気のないところで二股してますって言って二股させてくださいって、おかしくない?」

「でも、前、音楽室で良いって言ってくれたじゃねーかよ。それは違うのか?」

「あの時はOKしたわよ。本当に私を好きでいてくれるのなら良いって思ったけど…あの子がビンタをしなければね。二股して良いよって言った私にビンタよ?あれは無理だわ。」

そう言ってなつきはもう帰るねと、教室を出ていこうとした。

「…なつきは、もう、俺が咲菜ちゃんと二股するのは嫌か?」

俺は最後に、なつきに聞いた。

「嫌というか、咲菜ちゃんがあんなことしておいてひかるが咲菜ちゃんを好きって言うのなら、私はひかると別れる。彼女にビンタする女を好むって、それは彼女の私ではなくてあっちの味方してるからね。私は無理。」

そう言って、なつきは教室から出ていった。






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