第4話 修羅場

「私とひかるさんも昨日からお付き合いしてるんだけど」

「は、はぁ!?」

俺のモテ人生が、終了した_______。

なつきは今までに見た事がないくらいの鬼の形相で俺をグーパンチした。

バキッ

「グフォッッッッ!」

「っざけんじゃないわよ…私と最近付き合ったばっかりで…昨日他の子と付き合い始めた?バカ言うんじゃねーよっ!」

そう言ってなつきはもう1発俺を殴った。

バキッ

「グワフォッッッッ!」

「私とも付き合って?他の子とも付き合って?これは立派な二股よー?」

と言いながらなつきは俺の胸ぐらを掴んだ。

「ごめ、ごめん!なつき、二股してごめん!

でもしょうがないんだ!告白を振ってしまったら、一生罪悪感が残ってしまう!正直可愛いし、お嬢様だし上品だし!それに好きだから、咲菜ちゃんともお付き合いしたい!二股をしたい!俺の願いを聞いてくれ!」

俺は、なつきに土下座をして頼んだ。

俺が二股をしたのが原因だ、土下座くらいじゃ済まされ無いかもしれないけど、とりあえず謝った。

「別にいいわよ」

なつきはひとつ返事でOKしてくれた。

「ほ、本当か?」

俺は顔を上げた。

その瞬間ビンタをする音が聞こえた。

(は?謝ったのになんで…って、痛くない?俺くらってないのか…。)

ビンタをくらったのは、なつきだった。

そして、ビンタをしてたのは、咲菜ちゃんだった。

「さ、咲菜、ちゃん?いきなりどうしたんだよ!?なんでなつきを叩いたんだ!?」

なつきは右頬を抑えながら咲菜ちゃんを睨んで、「何よ、あんたが告白したから悪いんじゃない!」と叫んだ。

「あなたにとってのひかるさんは、その程度だったの?二股したら2回もグーパンチで殴るなんて、好きな人ならそんな簡単に殴れないはずじゃないかしら?そんなの、ただの怒りに任せた行動よ!ひかるさんのために怒るならまだしも、殴るなんてあなた、人間以下だわ!」

咲菜ちゃんが怒ったのはどこかズレているところだったか、咲菜ちゃんは俺が殴られたのが気に入らなかったんだとか…。

(でも俺は…)

「咲菜ちゃん!何をしてるんだ!?俺の、俺の彼女第1号をビンタするなよ!なんでそんなことするんだ!?」

そうするとなつきは、

「あなたも今ビンタしたわね。所詮咲菜ちゃんも怒りに任せて私を叩いちゃったわねぇ?」

と言った。

俺はなつきの強さに驚き過ぎてしばらく固まってしまった。

「は?こんなのお互い様でしょ?でもあなたは2発もひかるさんを殴ったのよ?あなたの方が子供だわ!ふふふ」

咲菜ちゃんはそう言い、俺の手を握り、「話はそれだけよ、ごきげんよう」と、音楽室を出ていこうとした。

「待ちなさいよ」

なつきは怒りながら小さい声で呟いた。

「その汚らわしい手を離しなさい!」

なつきは人生で1番怒ってたと思う。

「はぁ?私の手が汚らわしい?なんてことを言うのかしら、所詮人間以下はこんなことしか言えないのね!」

「咲菜ちゃんさー、人間以下人間以下言うけど、自分はどうなの?人間以下とかしか言えない咲菜ちゃんこそ人間以下じゃない?あんたがのうのうと付き合うことを許してんのに、ビンタするとか最悪よ。こんなことでしか男取れないとか…情けなっ」

なつきはそう言い、俺の手を取り音楽室を出た。咲菜ちゃんは固まっていた。

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