6:はじめての街道!
エリナさんとアルスさんに連れられて移動を始めた私とリサは今まで見た事の無い景色に心奪われていた。
今まで街の中、小さな川と森の端っこ、街の壁に寄り添って生きてきた私達にとって、広々とした街道は新鮮の一言だった。
特に自分達以外が信用出来なかったのもあって、街道なんて怖い場所と言う思い込みもあったからこそ、そう感じるのかもしれないけど。
折角だから、この景色を配信してみようかな。
:あっ、よかった無事だった!
配信を始めると早速お話してくれた。
でも、今はエリナさん達にスキルの事をバラすのは良くないだろうし、喋るのはやめておいた方がいいかな?
でもどうやって伝えたら良いんだろう。
【考えている事をコメント化しますか?】
そんな事を考えていると、突然スキルが反応した。 コメント化って言うのは何だろう?と思ったけど、反応しているって事は多分伝える方法なんだよね?
私は心の中ではいと答える。
【伝えたい内容を想像して、下部に表示されたらその内容で良ければ送信と念じてね!
そうすると右側にあるコメント欄に君のコメントが流れるよ!】
と教えてくれた。
どうやらあのお話をしてくれた人たちの残した言葉をコメントと呼ぶみたい。
次からはコメントありがとうって返せばいいのかな?
とりあえず、今は事情をコメントで話す事にして、話しながら周りの景色を楽しむ事にしよう。
リナ:コメント、できてますか?
:おぉ、出来てる出来てる!
リナ:良かった、です
:これもスキルの力なの?
リナ:そうみたいです、ちょっとびっくりしました
:スキルって凄いんだね、それで今は何をしているの?
リナ:実は冒険者のお兄さんとお姉さん、えっとアルスさんとエリナさんって言うんですけど、その二人が私達を別の街に連れて行ってくれる事になったんです
コメントしてくれる人に説明をする事にした。
心配させちゃったみたいだから、これで少しでも安心してくれると嬉しいんだけど⋯⋯
:別の街?
リナ:はい、どうやら私達の住んでた街は孤児院が無かったのは合ってるみたいなんですけど、他の街には孤児院があるのが普通みたいで
:なるほど、それで保護してもらえる感じなのかな?
リナ:ただ、リサがトラウマで私から離れたがらないのでそこをどうにかしないと⋯⋯って感じです
:なるほど、とりあえず当分は何とかなりそうなのかな?
リナ:はい! 凄く助かりました!
:もう心配無くなっちゃうって事は配信もしなくなるのかな?
リナ:配信したら見てくれますか⋯⋯?
:勿論! 色々異世界の事とか知りたいな俺は
リナ:だったら私、エリナさんにお願いして冒険者になろうかと思ってるんです、だから私が冒険者やってる所で良ければ⋯⋯
:冒険者良いね、憧れるよ
リナ:そっちの世界では冒険者は無いんですか?魔物とか、凄く危ないと思うんですけど⋯⋯
:魔物とかいないからね、いても凶暴な動物くらいだよ
りな:それは羨ましいです⋯⋯
:かといって人間同士の争いは無くならないんだけど⋯⋯
リナ:平和かと思ったらそうでも無いんですか?
:俺の住んでる国は平和だよ、戦争をしたらいけないって言ってる国だから
リナ:そういうの、良いですね⋯⋯平和にのんびり暮らしたいです⋯⋯
:じゃあのんびり暮らせる様にお金を一気に稼いでその後のんびり生きるのとか、どう?こっちだとスローライフって言うんだけど
リナ:冒険者で、お金一杯稼げたら出来そうですね! でもそうするとスキルとかも一杯取らないといけないので魔物とか沢山倒さないとですね
:俺は応援してるよ
リナ:はい! ありがとうございます!
リナ:あっ、そろそろ休憩するみたいなので私返事が出来ないと思うのでお願いします!
:気にしなくて良いよ!
そして私達は休憩予定の場所に到着したのでエリナさん達とご飯を食べながらお話する事にした。
「今日は野宿する事になるけど、二人は平気?」
「はい! いつもリサと二人で街の壁に寄りかかって眠っていたので慣れたものです!」
「⋯⋯そんなの慣れなくていいのよ?」
「⋯⋯はぁ、あの街はどうなってんだ全く」
アルスさんが何か苦いものを食べたような顔でそう呟く。
「どうかしたの? おなかいたいの? やくそーたべる?」
「⋯⋯ん、俺は大丈夫、ありがとな」
「なまのおにくたべるとおなかいたくなるんだよ! なまのおにくたべてない? だいじょうぶ?」
リサが心配してかアルスさんにそう言っている。
「⋯⋯あぁ、本当に大丈夫だ。
これ食うか? 干した肉だけど、よく噛んで食べるとお腹も膨れるし結構美味しいんだぞ」
「おにく!? たべる!」
リサはアルスさんから干し肉を受け取ると美味しそうに食べ始めた。
「おにくおいしいぃー!」
「ほら、リナもどうだ?」
「あ、ありがとうございます⋯⋯」
「子供なんだから遠慮はすんな。
干し肉なんて大した値段でも無いし全部食べても大丈夫だ」
「ありがとうございます!」
久しぶりに食べた味付けされたお肉の味は、しょっぱくて、でもどこか温かみを感じた。
♢
そして休憩場所で焚き火を始めたエリナさん達は交代で眠るらしい。
明るいうちに一気に移動して夜は極力片方が周囲の警戒をするのが一般的なんだって。
でも私もお手伝いすると言うと、体力も戻り切っていない私達が無理するのは良くないと言われて、先に眠る様に言われた。
でも、色々と聞きたいこともあったから、少しだけお話する事にした。
「そう言えば、結界魔法を使える人がパーティにいたら結界を張って安全に眠る事も出来るの」
「魔法ってそんなに種類があるんですか!?」
「レベルアップって言うのをすると、スキルポイントって言うのが貰えるの。
それでそのポイントを消費するとスキルの習得が出来るのだけど、レベル1を取得してから頑張って練習をして更なるレベルアップを目指すのが一般的かしら」
「エリナさんはどんなスキルとか魔法を持っているんですか?」
「私は視線察知、危険察知、杖術Lv2、風魔法Lv2、回復魔法Lv2、ストレージ(極小)って感じね」
「結構沢山持ってるんですね⋯⋯」
「基本的にはLv1を取って自分で特訓するのがおすすめかしら」
「そうなんですか?」
「持っていないスキルを自力で習得するのは本当に厳しいのよ、特に察知系のスキルはね。
それでレベル1を取得すると基礎を覚えられるの、あとはその基礎を元に自分で色々と考えて行く感じね」
「ちなみに剣術なんかも鍛えたら上がるんだぞ」
アルスさんが私達の会話に混じってそう教えてくれた。
「ちなみに、剣術のレベルってどうやって上げるんですか?」
「剣やそれに類する物を持って素振りだな。
自分の無駄を極限まで減らす様に振り続ければレベルが上がって行くと言われているが、俺も昔は木の棒を持って良く素振りしていたっけか」
「ちなみにアルスさんは⋯⋯?」
「俺は剣術Lv3だな、あとは危険感知、身体強化Lv2と筋力上昇Lv2、鍛治Lv2、空間収納(極小)を取得している」
「鍛治ですか?」
「こうやって遠征する時なんかに役に立つんだよな。 俺の師匠もそうしたって言っていたからスキルポイントで武器のメンテが出来るレベルまで上げたんだ」
「なるほど⋯⋯」
人によってそれぞれスタイルが違うみたいで参考になるなぁ⋯⋯
「まぁ今日はもう遅いし、そろそろ寝たほうが良いぞ、明日も辛いだろうしな」
「はい! おやすみなさい!」
:リナちゃん、もしかしてリナちゃんのスキルってとんでもないんじゃ⋯⋯?
突然そうコメントが来た。
リナ:私も今同じ事を考えました⋯⋯
索敵に寄っているとは言え、相当なスキルを持っているって考えると相当破格のスキルだと思う。
ただ、デメリットは私の力ではポイントを補充出来ないって事くらいかな⋯⋯?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます