第7話 おいしい朝ご飯
翌朝、あかどんが目を覚ますと、部屋中にとてもいい匂いが広がっていました。
「クンクン。うまそうな匂いがするぞ。おい、みどやん。起きろ。」
「ああ、おはよう、あかどん。」
「なんか、いい匂いがするぞ。」
「ああ、本当だ。何の匂いだろう。」
どうやら匂いは隣の部屋から漂ってきているようです。たまらなくなって寝部屋から抜け出した二匹がのぞいてみると、アナグマのおじいさんがもう既に起きて朝ご飯の準備をしていました。テーブルの上には、たくさんの食べ物が、お皿に盛られ置いてあります。
「何を見ているんだい?」
と、急におじいさんに言われたので、びっくりしてしまった二匹は、ばつが悪そうに中に入っていきました。
「おはようございます、おじいさん。」
「ああ、おはよう。お腹がすいたろう。食べるがいい。こんなに作ったのは久しぶりじゃが、不思議なものでな。自分だけの分作っても、これだけたくさん作っても、あまり手間や時間は変わらんのじゃよ。さあ、座って、遠慮は要らんよ。」
見れば、おいしそうなものばかり。クルミなどの木の実の入ったパン。卵を溶いた青菜と根菜のスープ。野いちごのジャムや野ブドウのジュースなどなど。
「ありがとうございます。でも、本当にいいんですか?」
みどやんが聞くと、おじいさんは大声で笑った後に、
「ああいいよ。さすがに一人で食べきれる量じゃないからなあ。」
と、言って、焼きたてのパンをちぎって口に入れ、
「うん。今日のは、いい焼き上がりになっている。さあ早く、冷めないうちに。」
と二匹に朝食を勧めてくれました。いつも、自分だけで食事をすることが多いせいか、誰かと一緒に食べるのは、ことのほか楽しかったのでしょう。おいしい、おいしいと言いながら、みんな、お腹いっぱい食べました。
楽しい食事の時間は、あっという間に終わり、急いで片付けを済ませました。もちろん、あかどんもみどやんも、いっしょに片付けを手伝いました。そのあと、おじいさんの身支度を待って、それから三匹そろって、小川の近くのリンゴの木を目指して出発しました。
歩いているうちに、森はすっかり明るくなってきて、朝一番に鳴き始める小鳥たちの声があちらこちらから聞こえてきました。風は、少し冷たいですが、今日は日差しの強い一日になりそうです。
(第8話に続く)
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