運命が変わった日

中学の卒業式が終わった後、姉が待つはずの家に帰った。


この間、大学受験の合格発表があった。第一志望に落ちた姉は、すっかり意気消沈していた。後期日程の受験を周りから強く促されたらしいが、彼女はそれらの勧めをはねのけ、一週間ほど家にこもっている。


両親は今もなお説得を試みているが、彼女が部屋から出る気配はない。


この前、受験の息抜きにと姉と新作ホラーゲームを買いに行ったんだ。気分転換でもすれば姉も部屋から出る気になるかもしれない。そのゲームは姉の部屋にある。それを口実に入れてもらえばいいのではないか。


そんなことを考えながら石ころを蹴りながらたくさんの荷物を抱えて、家の前まで来ると両親が青ざめた表情で俺のもとへ走ってきた。その母の手には手紙のような紙切れが握られている。母は俺の前にたどり着く前にへなへなと崩れ落ち、父親はわなわなと口を震わせる。


「どうしたの」


「さ、沙織が…死んだ…」


父の震える口の端からかろうじて漏れた声をつなぎ合わせて出た不吉な言葉。そんな言葉を信じられるはずがなくて、俺は反射的に姉の部屋に走った。


二人の静止を振り切り、姉の部屋にたどり着いた俺が見たのは閉め切られたドアの前で困ったように立ち尽くす警察の姿だった。


「君は、沙織さんの弟くんかな?」


「今部屋には入れないんだ。」


「ちょっと、お姉さんの部屋を調べているんだ。」


「姉さんは...?」


たどたどしく言葉を紡いでいた警察が口ごもってしまった。階段を上がってきた父に抱きすくめられながら部屋から引き離される。


姉さんが死んだ。それだけが確かな事実として、俺の心に流れ込んできた。

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