2人だけの世界へ
人の「本当」を知ることなんて現実でもネットでもできっこないのだ。誤解して傷つけた数だけ戒めのように筋をつける。それが私の罪滅ぼしの方法だった。
@sananan__
「今日、クロミネさんと会ったよ」
別れ際にこっそり彼の後ろ姿を撮った。彼は長くて細い。本当は私だけの秘め事のつもりだったけど、彼が偽りだらけで弱っていくのは見ていられなかった。だから。
「今日、クロミネさんと」
「今日、」
「彼は細すぎる ゲームだけじゃ無くてちゃんと食べてね」
ハッシュタグも名前も必要ない。燃えるのに証拠なんていらないんだから。
送信ボタンを押して私は微笑んだ。
「嘘、もうつかなくていいんだよ。私と違う世界で幸せになろう?君はこの世界では幸せになれないんだよ」
彼のDMに打ち込んで、消した。
楽しみはサプライズの方がさらに楽しいんだから。
彼が嘘をついていること。それだけしか私には分からないけど、それすら分からない奴らはネットにも現実にも溢れているんだ。
ねえ?こんな世界早く抜け出そうよ。
今日は筋をつけなくていい。たまたま立ち寄った会場近くの公園で彼に会えた。これは神の導きなんだ。
次の日、案の定、大火事になっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます